大正9年10月24日

更新日:2020年10月24日

10月24日(日曜日)、休日。

解説

今日は、日曜日。小見助役もお休みです。

【豆知識】国勢調査

今年(2020年)は、日本で最初の国勢調査が行われてから100年。今年も国勢調査が行われましたが、今ではインターネットを利用して調査ができるなど、最初の国勢調査から大きくやり方が変わっています。とはいえ、100年間続けられている日本全国一斉の調査。なかなかすごい調査ではないでしょうか。

ここで、助役日誌に書かれていた、日本最初の国勢調査に対応した大磯町の様子をまとめます。

国勢調査の始まり

最初に国勢調査の記事が見られたのは、大正9年3月26日。3月23日の公報に詳しく書かれているとあります。公報とは、県の公報のことでしょうか。

4月28日には、国勢調査の係員、つまり町役場の担当者が決められ、30日に国勢調査の会合が郡役所で開かれました。そして、5月2日には、町長から町会議員と区長に対して調査の説明があり、5日には西小磯地区でも区長から説明がありました。このとき、国勢調査がどのような調査なのか、町内の代表者たちに知らされました。

国勢調査員

国勢調査員は、国勢調査の調査票を各世帯に配布し、調査票を回収するなど、国勢調査の事務に携わる人のことです。国勢調査が実施される年の5月に募集が始まりますが、100年前も、5月29日に国勢調査員が選ばれています。(助役日誌には、「国勢調査委員」と書かれることもあります。)

国勢調査員は、当時は名誉職にあたり、調査員を務めた人には、記念章が配られるほどでした。そのような栄えある調査員に対して、8月17日に内閣から辞令が出されています。

国勢調査の宣伝

国勢調査は、とにかく「初めて」の調査でした。この調査を国民にわかりやすく説明するために、さまざまな工夫があったことが、助役日誌からわかります。その一つの方法が、活動写真でした。活動写真は、今でいう映画のことで、テレビのない当時は、政策の宣伝やニュースを伝える役割もありました。国勢調査の普及には、この活動写真も使われていました。

7月9日:大磯小学校で国勢調査の講習会開催。

8月27日:平塚で国勢調査の活動写真開催。県主催。大磯町の国勢調査員と調査係が観覧。

9月6日:大磯小学校で国勢調査の講演会。参加者多数で、盛会。

9月19日:大磯小学校で国勢調査の活動写真開催。満員大入。

いよいよ、第1回目の国勢調査!

100年前の国勢調査は、10月1日午前0時にいた場所の人口を調査するものでした。現在と違い、この日時に自宅にいなければ、自宅とは別の地域の人口としてカウントされます。

9月に入ると調査の準備が、いよいよ本格化します。調査の打ち合わせもさることながら、8月24日には県の職員と実施試験を行い、9月16日には予習調査も行われました。

そして、調査本番は、次のように実施されました。

9月7日:世帯番号札の貼付(調査対象の世帯に目印を付けたようです。)

9月21日:申告書(調査票)の準備、調査員への配布

9月29日30日:国勢調査係が担当地区へ出張、申告書を各世帯へ配布

10月1日:申告書を回収、検査

実は、申告書を配布した9月30日は大雨。小見助役の日誌には、訪問に困難を極めたと書いてあります。このことは、日本初の国勢調査を進めた当時の内閣総理大臣、原敬の日記にも記事があり、原が案じたように、現場はとても厳しい状況にありました。

小見助役は、午後6時には申告書の配布を終えて帰宅したようですが、日記には、午前1時まで警戒と書かれ、緊張感がうかがえます。

申告書回収、その後

10月1日に調査を終え、その後、10月7日頃までは、小見助役を含め、国勢調査係となった町役場の担当者は、申告書の内容確認など、取りまとめの事務に追われます(10月2日4日5日6日)。申告書を郡役所に提出したのは、10月11日。大磯町の調査結果は、世帯数1,747、男4,325、女4,308、合計8,633でした。

申告書を提出する前に、一段落したのでしょうか。10月8日には、町長・助役・町役場書記一同で、国勢調査の慰労会が開かれました。

参考

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