大正15年7月1日

更新日:2026年06月03日

7月1日(木曜日)、午前8時半出勤。

午後7時半から、小学校において青年訓練所の入所式がある。湘南中学校指導員の大庭大尉による青年訓練所の講演が予定されている。式終了後、午後8時から、役場内において後任町長の選考会を開催する通知を発した。

午後9時に式が終了し、後任町長の選考会を開催した。出席者は、曽根田・小島(栄)・郷土・中西・奥野・山梨・真壁・安部川・鈴木・脇・小島(玉)・宮代(師)・三宅・二宮・宮代(喜)・柳田(勇)・渡辺の17名で、柳田(良)は欠席した。満場異議無く、選考委員を選ぶ投票を行い、開票の結果、渡辺廣三・二宮長松・真壁時次郎・奥野増蔵・小島(栄)の5名が当選した。すぐに内々の相談をして、森前郡長を選考するとの報告があった。一同異議無く、すぐに交渉委員を選任した。選考委員に交渉委員を頼んで承諾を得たが、「2名の増員が欲しい」との事で、次点者の曽根田・鈴木の両名に依頼した。しかし鈴木氏は、高齢でその役目に堪えられないとのことで、三宅氏が代わって交渉委員に加わった。午後(午前?)1時頃、森氏の自宅を訪問した。承諾か否かを問いたところ、町民の意向には必ず添うようにするものと承知しているが、4、5日の猶予がほしいとの事だったと、交渉委員からの報告があった。これについて、新法に基づき緊急町会を召集することにし、明日2日午後1時に開催とした。後任者は、森茂樹氏である。また、町村制の制限特免と町長選挙について、附議することにした。翌午前4時に散会し、午前5時半に退庁した。

解説

今日は、6月25日付けで設立許可が下りた「青年訓練所」の準備が整って、入所式が行われました。「湘南中学校」から、大尉が講演の講師として呼ばれています。湘南中学校は、現在の「神奈川県立湘南高等学校」の前身です。100年前の当時は男子校で軍都・横須賀に近いこともあり、士官候補への道筋となる学校と捉えられていたようですが、日誌の記述からも、現役軍人が「指導員」という立場で教育の場にいたことがわかります。

入所式の後、前年11月から空席になっていた後任町長の選考会が行われました。当時、町村長の候補者選出は各自治体が行いましたが、決定権は無く、最終的には候補者の履歴書を添えた申請書を県に提出して、知事から正式な認可を得る必要がありました。しかし、今日の日誌には、新法に基づき緊急町会明日に開き、後任者は、森茂樹氏と記されています。また、町村制の制限特免と町長選挙について付議することにしたとも書かれています。これは全て、ちょうど1ヶ月前の大正15(1926)年6月に、「市政および町村制の改正」が行われたためと考えられます。これにより、市町村議員の選出には、満25歳以上の男子全てが選挙権を持つ普通選挙制が導入され、市長は市会による選挙で選任できるようになり、町村長の選任に必要だった府県知事の認可も不要になりました。それにしても、午後9時に始まった選考会議は、翌朝4時まで続き、候補の森氏の自宅を議員が訪ねたのは午前1時でした。そして、翌日の午後1時からの町会開催を決定しているのは異例なことです。この日の小見助役は、午前5時半に帰宅しました。選出に携わった町会議員らも、徹夜をしたと思われます。

参考

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