大正14年3月25日

更新日:2025年03月05日

3月25日(水曜日)、午前8時25分出勤。

午前10時から、大磯小学校において卒業証書授与式が行われ、参加した。

来る27日の午前10時には、中郡平塚町盲人学校で卒業式が行われる予定である。

午後1時半頃、愛甲郡南毛利村長の牧田氏が来場し、岡田町長に面談された。午後2時に、牧田氏は岡田町長と共に松月亭へ出かけた。

本日、高麗邦元氏が来場し、高麗山神社へ通じる里道修繕の補助申請を申し出た。

午後5時半に退庁した。

解説

卒業シーズンです。大磯小学校では、生徒たちは震災で校舎が壊れ仮校舎で勉強をしていました。新校舎の建設はこれからですので、卒業式が出来る場所があったのでしょうか。27日は中郡平塚盲人学校でも卒業式がありますが、町役場からの出席者はいなかったようです。


中郡平塚盲人学校とは、現在の「神奈川県立平塚盲学校」のことです。南金目村で鍼灸院を開業した秋山博が、盲学校を設立したのが始まりです。秋山は、子どもの時に天然痘にかかり、失明をしてしまいました。鍼灸師として自立し、開院してからは腕の立つ「金目の鍼医さん」として有名になり、全国から大勢の患者が集まったようです。その後、秋山は、目の見えない方たちの教育の場が必要と痛感し、中郡の有志者たちと共に、多くの寄付金を集め、明治43(1910)年4月に「私立中郡盲人学校」を開校しました。初代校長は、吾妻村の伊達時です。伊達時は、二宮駅や軽便鉄道を作った中心的人物としても有名ですが、教育や福祉にも尽力しました。学校では、一般教養や点字、鍼・灸・按摩の技術を教えました。授業料は無料で、寄宿舎も無料でした。その校舎もやはり震災で被害を受け、大正13(1924)年に現在の平塚市追分の場所に新校舎が建てられました。

3月23日の助役日誌にも、金目村の「中郡共立学校」が出てきましたが、金目村は教育に関して進歩的な場所であったことが分かります。

参考

金目エコミュージアム編『秋山博と私立中郡盲人学校』、2022年

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