大正12年9月22日
助役日誌
9月22日(土曜日)、午前8時出勤。
罹災調査のため、吏員は各担当地区へ出張する。
本日も雑務に忙殺される。
午後6時帰宅。
大磯警察署の日誌
9月22日(土曜日)雨天
出庁
署長は午前8時、災害事務打合せのため警察部に出張、午後8時に帰署する。署長は震災後初めて管区外に出張した。
思想及び経済状況
午前9時から水島巡査は震災後の世論及び要注意人物の動静、経済状態などの内偵のため、平塚町方面に出張。午後7時に帰署する。
暴利者の調査
午前8時半から吉田巡査は、日用品・その他の価格や一般労働者の賃金調査に従事する。
犯罪捜査
坂本刑事は、平塚方面の流木窃盗犯の捜査に従事する。
応援員の来署
午後3時、これまで応援派遣中の愛知県巡査の交代として、静岡県から応援派遣された巡査部長1名・巡査9名が来署した。大磯署に5名、秦野分署に3名、伊勢原分署に2名を派遣する。
馬入橋の落成
震災以来竣工を急いでいた馬入川(相模川)の仮橋が落成し、午後1時から通行を開始した。
暴利の取締り
平塚町新宿の金物商及び大磯町の米穀商の3名は、いずれも不当な価格で販売したため、厳重注意の上、請書を提出させた。
注:暴利取締令(勅令第405号9月7日)では、生活必需品11品目を指定し、買占めや売り惜しみ、不当な価格での販売を禁じた。違反者には懲役3年以下、または3,000円以下の罰金を科した。
解説
注意
記事をお読みいただく上での注意点は、大正12年9月1日の記事にまとめましたので、ご覧ください。
9月20日に米の廉売が終わり、役場の吏員はこの日から罹災調査のため担当地区に出張しています。罹災調査の報告は、日誌に書ききれないほどの惨憺たる状況だったのでしょうか。原文の日誌の記述はたったの2行。復旧の対応に追われている役場の状態をあらわしています。
警察署の日誌からは、何度か暴利の取締りが行われていることがわかりますが、暴利取締令が震災直後に発令されています。3割増しを標準価格と定めていますが、この日は、大磯町では米穀商が取締りを受けています。
更新日:2023年09月22日