大正12年9月21日

更新日:2023年09月21日

助役日誌

9月21日(金曜日)、午前8時半頃出勤。

在郷軍人会長の川村景明代理大尉が訪問。午前11時、侍従武官の桑田少将から、 町長・助役・区長・在郷軍人分会長・青年団長・消防組員等に対し、手厚いご挨拶があった。

午後6時頃、帰宅。

大磯警察署の日誌

9月21日(金曜日)晴のち雨

聖旨伝達
午前9時半より吾妻村、午後1時より大磯町、午後2時より平塚町・須馬村馬入の各所において、町村長・在郷軍人・青年団員・消防組員、その他公務に尽力している者に対し、今回の震災に対して天皇陛下からのお言葉が伝えられた。署長は桑田侍従武官に随行して、秦野をはじめ各所に行き、午後5時に帰署した。

病気欠勤
五木田巡査は、連日の活動により疲労から風邪にかかり、本日より欠勤となる。

列車の脱線
午前6時20分頃、下り第203列車は大磯駅から西に約2町(約200メートル)離れた線路において、機関車の脱線があったが、間もなく回復して損害などはなかった。

鉄道連絡渡船の開始
鉄道省は旅客の便宜を図るため、本日より馬入川(相模川)に鉄道旅客に連絡する渡船を開始した。

救済
午後6時頃、長野県の未成年者を、保護者の依頼により一泊させ、旅費を支給し出発させた。

臨時非常勤務規程の制定
昨今、状況が少しずつ回復してきた。さらに愛知県の応援巡査の加勢により、署員の労をねぎらうため、次の非常勤務規程を制定し、署示号外として発布した。本日から実施し、持久策を講じた。

<署示号外>
1)監督者は次の勤務をすること。

  1. 原田警部補及び平根巡査部長は、災害事務及び一般事務を処理し、交代で一日おきに特命がない限り午後6時に退署し、午前8時に出署すること。
  2. 北田警部は、監督区域内の災害事務及び一般事務を処理すること。
  3. 斎藤巡査部長は、平塚警部補派出所において北田警部を補佐し、一日おきに午後6時に退署し、午前8時に出署すること。

2)各巡査は、次の勤務をすること。

  1. 高等・刑事・会計・内勤・特務の各巡査を、甲(稲富・坂本・五木田・津金の4巡査)、乙(水島・高野沢・吉田・神谷の4巡査)の2部に分ける。甲・乙は交互に宿直し、宿直の翌日は特命がない限り午後6時に退署し、午前8時に出署すること。退署または外出の際は、必ず署長または上級監督者に行先や退署のことを申告すること。高野沢・五木田両巡査は主に受付・浄書・日誌の記入を、神谷・津金両巡査は浄書・日誌の記入及び電話、一般事務や特命の用務を担当すること。吉田巡査は、斎藤巡査部長が非当直の時は、平塚警部派出所に出向して勤務すること。
  2. 所在管区巡査は甲(門馬・杉浦両巡査)、乙(柴崎・渡辺両巡査)の2部に分かれ、次の勤務をすること。甲乙両部員は、交互に午後6時に退署し、午前8時に出署し、災害事務、その他の一般事務や特命の用務を担当すること。当直員の内1名は交互に平塚派出所に行き、北田警部の指示に従い勤務すること。
  3. 平塚町内各駐在所及び須賀仲町・大野村中原・旭村の各駐在所員は、交互に2名ずつ平塚派出所に行き、北田警部の指示を受け、同所において勤務すること。

解説

注意

記事をお読みいただく上での注意点は、大正12年9月1日の記事にまとめましたので、ご覧ください。

この日、桑田侍従武官から、各町村長はじめ在郷軍人・青年団・消防団・その他の公務で尽力してきた人たちに、天皇陛下からの労いと感謝の温かいお言葉が届けられました。努力が報われた、そのような思いだったことでしょう。

そして、大磯警察署では、疲労による欠勤者がもう一人出てしまいました。署長は、愛知県の巡査が応援に来たこと、震災後の混乱状態が少し収まってきたことから、管内の署員に対して勤務規程を臨時に制定し、この日から実施しました。午後6時に一日交代で退署、各署員の勤務内容を2部に分け、宿直を隔日にしました。これで少しは体を休めることができるでしょう。災害後の長期戦に備えての体制作りです。

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