大正12年9月20日

更新日:2023年09月20日

助役日誌

9月20日(木曜日)、午前8時30分出勤。

本日も米の廉売をした。本日限りで廉売を中止することにした。

工兵18連隊が大磯町に宿泊。

藤田町長は町村長会同に出席のため、中郡役所へ出張した。

小学校においては学務委員会が開催され、助役が代理として出張した。学校の取り崩しを小巻甚三郎に請け負わせ、教員室の屋根起こし、その他一切を金1,500円で契約した。生徒の授業は各寺院を借りて受けさせることに決まった。改築についての意見はまだ決まらず、後日に協議することになった。

午後2時頃役場に戻り、その他雑務に従事した。

午後6時帰宅。

大磯警察署の日誌

9月20日(木曜日)晴

巡査の服装について
明日21日より、巡査の服装は上着を冬服に変える規定があるが、署員の中には冬服を使用することができない者が数名いる。かつ、いまだに暑さが激しく、活動上の支障があるため、当分の間、夏服で勤務させることを知事に上申した。

応援員の到着・配置・勤務
午前11時半、昨夜の電報による愛知県の応援員巡査部長・村瀬徳一ほか巡査14名が来署した。今回の応援員は、当署より願い出たものではなく、またこの付近においては当署のみに来ている。管下の伊勢原・秦野の両分署管内も被害が大きく人員不足であるが、応援員が来ないことが判明したため、署長は当署の巡査部長1名、巡査5名の配置を止めて、秦野分署に巡査5名、 伊勢原分署に同4名を特派した。また同時に、応援巡査6名を平塚方面に派遣し、次の配置で勤務することを北田警部に命令した。

  1. 巡査部長1名、巡査3名は馬入川(相模川)に配置し、軍隊と協力して渡船及び交通の取締りに従事させること。勤務は、渡船を営業している間は、両岸に1名ずつ配置し、朝鮮人や要視察人、女性や子どもなどを誘拐するおそれがある者の取締りと、雑踏の取締りに従事させる。
  2. 巡査2名は警部派出所に配置し、1名は宿直させ、1名は午後6時より帰宅させて午前8時に出所させること。宿直の巡査は、大野・須馬・平塚町内の火災、盗難、衛生上の予防取締りと注意喚起などに従事させること。
  3. 前記2名の宿舎は営業者方に交渉し、適当な家に宿泊させ、馬入駐在所または派出所に常駐させないこと。

大磯警察大隊の臨時編成替え
愛知県の応援巡査が来署したため、次の通り警察大隊を臨時に編成替えした。

大磯警察大隊長   大磯署長
大磯中隊長   署長兼務
中隊副官   平根巡査部長
伝令   高野沢巡査
給与係   稲富巡査
救護係   吉田巡査
視察係   水島巡査・坂本巡査
第一小隊 小隊長 北田警部
  副官 村瀬巡査部長
  伝令 角田巡査
  小隊員 北堀巡査・楢原巡査・八島巡査・斎間巡査・草野巡査・難波巡査・佐藤巡査・本間巡査・石原巡査・和地巡査・富田巡査・鈴木巡査・伊藤巡査・伊藤嘉巡査・伴巡査
第二小隊 小隊長 原田警部補
  副官 斎藤巡査部長
  伝令 神谷巡査
  小隊員 門馬巡査・津金巡査・渡辺巡査・柴崎巡査・杉浦巡査・斎藤巡査・小倉巡査・安藤巡査・中畑巡査・鈴木巡査・小山巡査・牧野巡査・五木田巡査

第一小隊の村瀬部長及び富田巡査・鈴木巡査・伊藤巡査・伊藤嘉巡査・伴巡査は、愛知県の応援員。第三小隊秦野分署員及び厚木中隊厚木署員、伊勢原分署員は略。

侍従武官の御派遣
聖上陛下は、今回の災害に対し御慰問並びに実情視察のため、陸軍少将の桑田侍従武官を派遣された。署長は出迎えのため大隊長及び郡長とともに、午後1時半に馬入橋へ出張した。桑田武官は小田原に赴かれ、明日、当署や秦野分署管内を視察する予定。

内務監査官の来署
災害事務や実情視察のため、三矢内務監察官が午後6時に来署した。署長は書類を作成し、提出した。

女性や子どもに対する注意
災害のため避難または旅行中の女性や子どもを、言葉巧みに誘拐する者があるとの風評がある。そのため、女性や子どもは単独で旅行または夜間外出することなどを控え、これらに注意するよう、文書にして目立つように部内の十数カ所に掲示した。

病気欠勤
津金巡査は、病気のため本日より欠勤となる。

救助・炊き出し
本日、保護を願い出た者が19名いた。当署脇の消防器具置き場に収容して、食事を提供した。

解説

注意

記事をお読みいただく上での注意点は、大正12年9月1日の記事にまとめましたので、ご覧ください。

前日に無料宿泊所が廃止されましたが、9月9日から続けていた米の廉売も、この日限りで終了しました。小見助役は町長の代理で学務委員会に出席し、校舎の解体や修理について話し合いました。子どもたちは各寺院を借りて、授業を受けることになりました。

大磯警察署には、前日の電報で知らされた愛知県からの応援巡査たちが到着し、管轄の平塚だけでなく、秦野や伊勢原にも応援範囲を広めました。詳細な配置換えと編成が行われました。

大きな出来事としては、天皇の命により、災害地の慰問と実情視察のために桑田侍従長武官がやってきています。署長は馬入橋まで出迎えましたが、この日は小田原へ、大磯への視察は明日ということになりました。署長にとっては神経を使う大きな仕事です。

津金巡査は、本日より病気欠勤となりました。連日の激務の疲れからに違いありません。早期の回復を祈ります。

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神奈川県中郡大磯町西小磯446-1
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