大正12年9月19日

更新日:2023年09月19日

助役日誌

9月19日(水曜日)、午前8時30分出勤。

引き続き、米の廉売をし、その他の雑務に従事した。

午後6時頃、帰宅。

大磯警察署の日誌

9月19日(水曜日)晴

馬入橋架橋の状況
馬入川(相模川)の仮橋は先日の水害で流失し、一昨日より工兵隊約100名が架橋に努め、両岸・中央の3区に分けて作業し、橋柱のほとんどを立てたため、2、3日中に架橋が終了する予定である。

流木拾得者の検挙
大磯町の者が、建築用材または杉の丸太などを拾得し、隠しているとの情報があり、調査したところ事実であったが、犯罪性が軽いため、至急役場に届出るよう説得するとともに、請書を提出させて、今後の注意をした。

渡船時間の改正
本日、馬入川の渡船を、午前4時より午後9時まで、時間を延長する。

応援隊派遣の電報到着
午後6時、県警察部より愛知県巡査15名を応援隊として派遣することについて、二宮駐在所へ電報が届いた。管内平塚・大磯・二宮の3つの郵便局の電信設備は、全て破壊されていたが、昨日より二宮局のみがようやく回復したため、応援隊派遣の電報は二宮に届いた。

大磯無料宿泊所と炊き出しの廃止
9月1日以降実施していた無料宿泊所に収容が必要な者や、炊き出し米を提供すべき者がほとんどいなくなったため、本日よりこれを廃止した。

解説

注意

記事をお読みいただく上での注意点は、大正12年9月1日の記事にまとめましたので、ご覧ください。

助役の日誌には、相変わらず「雑務に忙殺」としか書いてありませんが、町民の衣・食・住の確保、衛生管理や感染症対策、子どもの学ぶ場の確保、外部との連絡調整、警察署との連携等々、町民の生活を立て直すため、想像をはるかに超える勤務状況だったと思います。

警察署の日誌には、震災後の復旧に関する朗報が3つ記載されています。馬入川(相模川)に架けられていた仮りの橋は、9月15日の豪雨で壊されてしまいましたが、多くの工兵の力を借りて、三日以内には橋が架けられる見通しとなりました。道路復旧の朗報です。

また、管内の電信機器が全て破壊されて通信の手段がありませんでしたが、やっとこの日、二宮郵便局が復旧し、二宮駐在所に電報第1号が届きました。愛知県から巡査の応援隊が派遣されるとのこと、朗報です。

9月1日以降、小田原方面からの避難民に対して無料宿泊所を設営し、炊き出しをしていましたが、利用者がいなくなったという理由で、廃止が決まりました。このような状況からも、混乱が収束しつつあることがわかります。

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