大正12年9月17日
助役日誌
9月17日(月曜日)、午前8時出勤。
本日も雑務に従事した。
午後4時頃、ろうそく5箱が到着した。すぐに一般ヘ配布するため、各区長に渡した。
サツマイモ2俵、梅ぼし1樽が中郡役所より支給され、各区へ配給した。
午後6時頃、帰宅。
大磯警察署の日誌
9月17日(月曜日)晴
暴利者への説諭
平塚町新宿の者が不当な価格で、タマネギを販売したため、厳しく取り締まった。
無料診療
佐藤技手及び吉田巡査は、前日に引き続き須馬村及び大野村の一部に対し、被災者の無料診療と健康状態を視察し、衛生に関する注意喚起に従事した。
交通機関の開通
本日より二宮・秦野間の湘南軌道は、一日3回を限度とし、吾妻村二宮・一色間の無料輸送を開始した。同時に秦野自動車会社は、不定時に、秦野・二宮間の運輸を料金50銭で開始した。
解説
注意
記事をお読みいただく上での注意点は、大正12年9月1日の記事にまとめましたので、ご覧ください。
前々日以来心配していた長者町青年団の団員3名が大磯町に戻り、ろうそく5箱が役場に届きました。3人の健康状態や豪雨の影響についての記述はありませんが、危険を感じながらの困難な道中だったに違いありません。ろうそくは一般の家庭に配布されましたが、何本ずつ配られたのでしょうか。この日はサツマイモと梅ぼしの配給もありました。
警察署の日誌には、交通手段が徐々に整備され、湘南軌道(軽便鉄道のこと)の一部の区間が開通、道路の復旧により自動車会社も運輸を開始したとの記述があり、秦野方面への人と物資の輸送は楽になりました。半月ほどの復旧作業、仕事とはいえ、多くの工夫たちによる努力の結果です。
更新日:2023年09月17日