大正12年9月14日

更新日:2023年09月14日

助役日誌

9月14日(金曜日)、午前8時30分出勤。

本日は、協定した上で、町内にある米の処分を行った。米穀商組合・産業組合・漁業組合へ玄米の残りを配布することに決定した。

警察署より、ろうそくの配給を受けた。ろうそく大を10箱受領。

本日も雑務に忙殺した。

午後7時頃、帰宅。

大磯警察署の日誌

9月14日(金曜日)晴のち豪雨

県庁への出張
先日から、衛生及び灯火用品の支給を、しばしば県庁に督促していたが、何にも通知がないため、水島巡査と消防組員2名がこれらの物資を受け取るため、午前5時20分に県庁へ行かせた。

説諭
平塚町新宿の者が、不当な価格で釘を販売したため、厳重に注意した上で、誓約書を提出させた。

流言浮説者への対応
昨日、朝鮮人に関する虚偽の風説を広めようとした理由で拘束した人夫5名について、雇用者に誓約書を書かせて引渡した。一方、大磯町の高麗に滞在中の朝鮮人15人は、前夜に鉄道当局に引率されて到着した者であるが、監督する責任者がいないため、鉄道省技師の上島国松から誓約書を取り、保護させることになった。

電灯施設の助成
6日以来、火薬廠の好意によって、管内主要の道路に設置した電灯は、その後、設置数が増加したため、光量が減ってきてしまっている。そのため、平塚・大磯両町、小田原電灯会社出張所主任及び火薬廠の工夫と共同で、明日15日に、さらに設備を充実させることとなった。

工場及び衛生状態の視察
午前8時から、吉田巡査は、管内の工場と一般の衛生状態を視察した。

保健衛生の宣伝
大磯・平塚・吾妻・国府は終了したため、本日午前9時より大野・旭両村内に対し、保険衛生の宣伝を実施する。

馬入の交通遮断について
昨夜からの豪雨により、午前9時に馬入川の水量が著しく増え、馬入仮橋は一部が流失し、渡ることができなくなった。また、強風・高波によって危険であるため、渡船を一時中止した。

渡船の開始
午後1時頃になり、辛うじて渡船を開始。料金は、一人5銭、自転車一台10銭、荷車一台15銭。

各種団体の応援に関する督励
午前8時より、平塚・須馬・大野の一町二村の在郷軍人・消防組員・青年団・町村当局者等を平塚警部捕派出所に集めて、馬入川仮橋の架橋、あるいは堤防決壊の場所の応急措置などに対し、これらの団体に応援方を督励したが、なかなか協力が難しい状況にある。そのため、さらに協力をお願いした結果、前記の町村から50名ずつの派遣があり、軍隊と共に架橋、その他の施設の整備を行い、完了することとなった。

巡回診療
本日午前7時より、佐藤技手と吉田巡査は、大磯町内の巡回診療を開始すると同時に、感染症の発見に努めた。これより後は、連日各町内にて巡回診療を実施する。

ろうそくの配給
横浜に出張した水島巡査は、午後7時頃、ろうそく10箱、薬品若干を携帯して帰署した。直ちに、管内の消防組員・青年団・在郷軍人等の夜警用として4箱を配給した。

旅客の保護
馬入川(相模川)の渡船不足と、地元の状況に配慮することなく、鉄道は馬入川から東は8回転、西は6回転で運転しているため、多数の人びとが平塚町に集まり、旅費が不足するなどの問題が発生している。そのため、平塚町の各戸に、十数名ずつを割り当てて宿泊させた。大磯町では100名余り(実費負担者は50名)が滞在中。炊き出し米5升(約7.5キログラム)。

解説

注意

記事をお読みいただく上での注意点は、大正12年9月1日の記事にまとめましたので、ご覧ください。

助役の日誌と警察署の日誌は、時に同じことが、わずかに違って書かれます。この日はろうそくの配給がありましたが、このろうそくは、警察署から県庁に対して配給の催促をしていたところ、まったく連絡がないので、巡査を直接派遣して入手したものでした。10箱の内、4箱は夜の警備用として、消防組員や青年団、在郷軍人に配られたはずですが、助役の日誌では、町役場に10箱届いたことになっています。

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