大正12年9月10日
助役日誌
9月10日(月曜日)、午前8時出勤。
本日も仮事務所で半搗米の廉売を行い、その他の雑務に追われた。
渡辺書記は、平塚海軍火薬廠へ灯火用油の供給を受けるため出張した。
西小磯消防小頭6人は、警察署の玄米を運搬するため、豊田村へ出張した。
午後8時帰宅。
大磯警察署の日誌
9月10日(月曜日)晴のち微雨
戒告
不当な料金を請求した大磯町の運転手、旅館業者、国府村新宿の者に対して、 詫書を提出させ、厳重に訓戒した。
仮泊所の廃止
本日より吾妻村(現・二宮町)及び平塚町の仮泊所を廃止した。
電灯配給施設
午前11時、平塚海軍火薬廠の電力を使って、管内各戸の一部に電灯をつけるため、小田原署長を介して、小田原電気会社に通告したところ、 会社より近く復旧に努めるため、火薬廠の電力は中止を申込むよう依頼があった。そのため、中止した。
衛生用品の請求
感染症の予防のために必要な材料を、午前6時、警察部に請求した。
灯火原料の配給
9月6日に招致した各町村長に対し、灯火原料油を人口その他に比例して、次のとおり、火薬廠から支給を受けた。
平塚町 | 70貫 |
大磯町 | 35貫 |
吾妻・須馬両村 | 30貫ずつ |
大野村 | 20貫 |
土沢・国府両村 | 10貫ずつ |
注:1貫=約4キログラム
直ちに、管内に次のとおり掲示した。
「海軍火薬廠の好意により灯火原料の支給を受け、町村役場に配給した。必要な方は役場から配給を受けること」
掲示
午後4時半、横浜・国府津方面で感染症が流行しているため、再度、注意事項を掲示した。
収容人員
降雨のため宿泊者は300名以上になり、炊き出し米は2斗(約30キログラム)となった。
寄贈品
岩崎男爵からカツオ2尾の寄贈があり、刺身にして署員に食べさせた。
帰省女工の保護
相模紡績の女工401名を、前日同様に保護し、帰省させた。
解説
注意
記事をお読みいただく上での注意点は、大正12年9月1日の記事にまとめましたので、ご覧ください。
小田原電気会社の復旧が進みました。そのため、海軍火薬廠の電力を頼らなくても良くなったようです。
また、この日は海軍火薬廠から、灯火用の油の支給がありました。警察署の日誌と助役の日誌の記述が関連しています。
地震から10日が経ちました。
更新日:2023年09月10日