大正12年9月8日

更新日:2023年09月08日

助役日誌

9月8日(土曜日)、午前8時出勤。

火薬廠から電気を借り入れた。

高麗の諸星方の精米所で町の職員が精米に従事し、梅田雇が担当した。

中郡役所において町村長会が開かれ、藤田町長が出席した。

本日も前日と同様、雑務に忙殺された。

午後9時頃に帰宅した。

役場の職員は、交代しながら徹夜した。

大磯警察署の日誌

9月8日(土曜日)晴

食料の購入
明け方、坂本刑事を大野・大田・豊田村方面に派遣し、豊田村の青年会、大田村の福井準三その他から、玄米120俵余り(約7.2トン)を購入した。

暴利者の検挙
暴利の風評がある商人3名を招致して、厳重に注意した。

もち米の廉売
午後3時、窪田浜吉より買入れたもち米の玄米48俵(約3トン)を、警察署前にて1升20銭で一人につき3升(約4.5キログラム)ずつ廉売した。

電灯の点灯
本日より柴崎巡査を指揮官として、吾妻村(現・二宮町)の要所に電灯を点灯した。

電話開通
当署より、郡役所に駐留している大隊本部と須賀巡査派出所へ電話が開通した。

物価調節
午後10時、平塚町内各営業者及び区長、その他関係者を平塚小学校の校庭に集め、前日に大磯町で対応したことと同じように、58名から請書を出させ、 その励行を厳重に申渡した。平塚町の内藤彦市より、ろうそくその他の必需品購入のため、愛知県下に出張したいと申し出があったので、 昨日と同様に警察署長・市町村長宛ての依頼書を交付した。

収容人員及び炊き出し
仮泊所収容人員約150名、炊き出し玄米1斗(約15キログラム)、豆5升(約7.5キログラム)

町村長会議
郡役所で町村長会議を開催した。救済事業を議題にしたが、集まった者が少なく、話がまとまらなかった。

寄贈品
次の寄贈品を、米穀買入に派遣した坂本刑事が受け取った。

大野村 中原 小川幸造 5俵(約300キログラム)
大田村   福井準三 玄米 3俵(約180キログラム)
      2俵(約120キログラム)

解説

注意

記事をお読みいただく上での注意点は、大正12年9月1日の記事にまとめましたので、ご覧ください。

地震発生から8日目。食料の確保が緊急の課題となっています。町も警察署も玄米を買い入れ、精米したり、廉売(安売り)したり、その対応に従事しています。また、物価調節のため、この日は前日の大磯町と同様、平塚の商店営業者に対して、誓約書を書かせました。

電気の復旧も進められています。火薬廠から電気を借り入れるという表現がありますが、これまでの日誌の記述から、平塚の海軍火薬廠には火力発電があり、その電気を引いて、9月5日に平塚市街地、9月6日に大磯、9月7日に国府から吾妻村、そしてこの日9月8日には、吾妻村(現・二宮町内)の電灯が点灯しました。一日ごとに復旧が進んでいる様子がわかります。

この記事に関するお問い合わせ先

教育委員会 教育部 生涯学習課 郷土資料館
〒255-0005
神奈川県中郡大磯町西小磯446-1
電話番号:0463-61-4700
ファックス:0463-61-4660
メールフォームによるお問い合わせ