大正10年11月1日

更新日:2021年11月01日

11月1日(火曜日)、午前7時30分出勤。

今日から午前9時、事務始め。

大磯小学校において、運動会を兼ねて尚歯会を開催した。盛況を極めた。小生は、収入事務に忙殺されたため参加しなかった。

午後4時頃から、小学校において町会議員・在郷軍人分会長・区長・青年団長を召集して、大演習について協議会があった。藤田町長が参加。小生は事務の都合があって参加しなかった。

終日、役場において事務を行った。

中西巡視は、中郡農産物品評会の陳列状況を視察するため、金目及び伊勢原町に出張した。午後4時頃帰庁し、本人が復命した。

午後5時頃から役場庁舎内に町会議員を召集し、藤田町長が今回の大演習に関する協議会を開いて、町会議員各自に担任事務を委嘱された。

終了後、収入役の後任の件について、選考委員から報告があった。前収入役の加藤倉吉氏を再選することに決まり、交渉委員を選んで、近いうちに交渉することになった。

その後、夕食(松月の普通弁当)を取った。

同夜、今年2回目の大降雹あり。被害甚大。特に、稲・蕎麦の他、葉物や瓜類については、古今未曾有の凶事となった。降雹は約1時間にわたり、午後9時頃散会して帰宅した。

解説

今日は、多くの出来事が記録されています。

まず、11月から執務時間が変更になっています。当時は季節ごとに変更し、11月から2月までは午前9時から午後4時でした。

小学校で運動会と一緒に開催された「尚歯会(しょうしかい)」とは現在の「敬老会」のことです。

また、中西巡視が農産物品評会の陳列を視察したのは、近々大磯でも品評会を行う予定があったためのようです。

「大演習」のため協議会を開いて、在郷軍人分会長・区長・青年団長を召集し、町会議員には事務分担を振り分けています。この「大演習」とは「陸軍特別大演習」のことで、毎年1回、天皇を大元帥として各地で大規模な軍事演習を行いました。演習地に選ばれた地域では、前年から道路補修や衛生環境整備などの準備を始めました(9月10日参照)。この年は、東京・埼玉・神奈川にまたがる地域が選定され、大正天皇の名代として皇太子(後の昭和天皇)が初めて統監を行い、日程は11月17日から20日まででした。19日深夜から20日早朝にかけては、多摩川を挟んで東軍西軍に分かれ、大規模な戦闘訓練が行われました。

また、小見助役にとって気がかりだったと思われる後任の収入役の選定の件ですが、結局、前任の加藤倉吉に再任を交渉することになったようです。

さらに夜には「大降雹(ひょう)」があり、「被害甚大」と書かれています。小見家も農家でしたので、恐らくそれなりの被害に遭ったのではないかと思います。

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