大正10年9月10日

更新日:2021年09月10日

9月10日(土曜日)、午前8時出勤。

渡辺書記は、大野村役場の戸籍研究会に出張、参加した。

戸籍事務を取り扱った。

来る14日、皇太子殿下御還行の大磯駅御通過は、午後4時48分の予定。

本日は、大演習のため、当町の畜犬予防注射を警察署において執行した。費用は5円。町役場が支払った。

午後0時30分退庁。

解説

渡辺書記が戸籍研究会に出張した大野村は、現在の平塚市北東部、相模川西岸にあった真土村・中原上宿村・中原下宿村・四之宮村・八幡村・南原村が合併して、1889年(明治22年)にできた村です。この当時は、中郡に所属していました。

また、畜犬予防接種とは、現在の狂犬病予防接種のことです。古くから日本には野犬が多く、明治に入っても度々全国各地で狂犬病が流行し、死者も多く出ていました。1918年(大正7年)に神奈川県で初めて犬への集団予防接種が始まり、それが広まるにつれて被害者が徐々に減少するようになりました。しかし、発症した犬などを殺処分しても、繰り返す流行を止めることはなかなかできませんでした。

日誌には、「大演習のため」と書かれています。この大演習は、陸軍の特別大演習のことで、当時は年に一度行われる天皇が臨席する演習として、一大イベントになっていました。1921年(大正10年)は神奈川県での実施が決まっていて、狂犬病予防接種は、その準備の一環です。演習地域は、1年前から道路の補修や衛生環境の整備など、準備する必要がありました。

なお、日本では1950年(昭和25年)に新たな狂犬病予防法が施行され、畜犬の登録や予防接種が徹底されるようになり、現在国内における狂犬病は撲滅されています。

参考

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