大正10年7月7日

更新日:2021年07月07日

7月7日(木曜日)、午前7時50分出勤。

午前9時頃、チブス患者を隔離舎へ入院させた。

午前10時、長者町記念碑30年祭が行われた。藤田町長が式に参列した。

渡辺主任書記は、戸籍研究会のため須馬村役場へ出張した。

西小磯地区と大磯漁業組合との調印が済んだため、鰤敷使用料3,500円(大正10年一年分)を添田区長が受け付けた。この金額は、4年間で計14,000円で受け付け済みの契約となっているものである。
契約書
大正6年1月8日免許第538号漁業権に関し、西小磯地区と大磯漁業組合とは、左の通り契約を締結する。
但し、西小磯地区を甲とし、大磯漁業組合を乙とする。
1.甲は、乙出願の大正10年1月19日付免許第538号漁業権変更願に対し同意し、且、乙の免許第481号漁業権拠棄に対し同意する。
2.甲は、免許第538号漁業権並びにその変更した漁業権に対し、将来どのような権利も主張しないことを承認する。
3.乙は、大正3年6月9日に締結した仮契約は解除し、更に甲に対し金14,000円を、大正10年から同13年に至る4か年間に、毎年金3,500円ずつに分けて支払う事を約す。但し、税金その他免許第538号漁業権、又はその変更により生じた漁業権に関する一切の費用は、今後乙において負担するものとする。
4.前項の金額支払い期限は、毎年1月末日及び3月末日の2回とし、各回金1,750円ずつを支払うものとする。但し、大正10年の分は、本契約締結と同時に支払うものとする。
右契約を証するため、本証2通を作成し、各自1通ずつを分有するものである。
大磯町西小磯代表 印 大磯漁業組合理事 印

解説

本格的な夏の季節がやってきて、感染症の腸チフスが発生し始めています。前月9日には真鶴でコレラが発生し、その対策として予防接種などの対応に追われました。海水浴客などで賑わうこの時期は、特に衛生管理の徹底が重要だったと思われます。

また、今日の記事には、西小磯地区と漁業組合が結んだ契約書が書かれていました。この契約書の記述は、小見助役が写しとして記録したものです。

大正4年(1913年)に始まった大磯沖での鰤(ブリ)の定置網漁は、一時は巨額の利益を生んでいましたが、この頃には漁獲高の減少や物価の高騰などで業績が悪化してきていました。そのため漁を行う業者が合併して新会社(相模漁業株式会社)を設立し、その漁業権賃貸料や利益配分について見直しが図られていました。この契約書は、定置網漁が始まった当初の西小磯地区の漁業権と利益配分に関する契約を破棄し、新たに締結し直したことを示したものです。大磯の鰤定置網漁及び分配金の経緯については、大正10年2月2日の豆知識をご覧ください。

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