大正9年12月1日

更新日:2020年12月01日

12月1日(水曜日)、 午前8時20分出勤。

本日午後1時48分大磯発の列車で、今年入営する壮丁のうち、朝鮮73連隊へ入営する兵を、停車場へ送る。

午後7時、兵士の送迎会を開催する予定。松平学円氏の講演があるはず。午後7時より送迎会開始。 奥山会長の辞と藤田大磯町長の挨拶があり、その後松平学円氏が「教育勅語と明治大帝・尼港事件」と題して約2時間にわたり能弁し、盛会を極めた。茶菓及びビール2本を用意した。

午後10時散会し、すぐに帰宅した。

解説

日露戦争に勝利した日本は、1910年(明治43年)韓国を併合し、朝鮮半島の警備のため軍隊を派遣していました。この日、小見助役が駅で見送った青年達が入営した朝鮮73連隊とは、朝鮮半島北部で編成され警備にあたっていた第19師団所属の歩兵連隊です。通常入営の時期は1月でしたが、彼らは国外の部隊に配属されるため早めに出発したようです。「壮丁」(そうてい)とは満20歳になり兵役に就く者のことです。

一方、この夜は入営間近の青年達のために送迎会が催されました。講演した松平学円とは、「通俗講演士・教育講談師」を名乗っていた当時の人気講談師。全国の青年団等の行事に招かれては、修養・慰安・芸術・学術と銘打った、多彩な内容の講演会を行っていたようです。

大磯ではこの日ばかりではなく、4年前にも補習学校入学式や消防組員の入退式で講演したとの記録があります。経緯は不明ですが、翌年の1921年(大正10年)当時の皇太子裕仁親王の欧州訪問の際、随行員等の慰問係として随行し、帰国後、御前講演の栄誉に浴したと宣伝して経験談を語り、より一層の人気を博したようです。なお、演題となった「尼港事件」の詳細については、10月5日の記事に記載しましたので、あわせてご覧ください。

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