100年前の1年を振り返る~大磯町助役日誌から~

更新日:2021年01月07日

2021年になりました。本年もよろしくお願い致します。

大磯町郷土資料館では、昨2020年から、100年前に作成された大磯町の助役日誌を、ブログ形式で毎日公開する企画を始めました。

お蔭様で、無事、一年分の更新を終えることができました!これもひとえに、古文書解読クラブの皆様のご協力があってこそ、です。改めて感謝します!

さて、100年前、1920年を振り返ると、大磯ではどんなことがあったのでしょうか?

そもそも、100年前は、2020年にアニメやマンガでブームになった、大正時代(1920年は和暦で大正9年)です。現実には「オニ」は出てきませんが、当時の服装は着物(和装)が主流で、スマホやパソコンはもちろん無く、自動車は珍しい存在、電気も今ほど普及していませんでした。一口に100年前、と言っても、今とは暮らしが大きく違っていたのですね。

スペイン風邪の流行

1920年、最初のトピックは、新型インフルエンザ、いわゆるスペイン風邪の流行です。日本では、1918~19年に第一波、1919~20年に第二波、1920~21年に第三波という、冬を中心に三度の流行がありました。

助役の日誌には、1~2月にかけて実施された予防注射の状況が記されていました。詳しくは、5月23日の記事にまとめましたので、ご覧ください。

奇しくも、100年後の2020年は、新型コロナウイルスが世界的に流行しました。この偶然には、驚くばかりです。

第14回衆議院議員総選挙

大正時代、というと、「大正デモクラシー」という言葉を思い出す方も、いらっしゃるかもしれません。大正デモクラシーは、大正時代を中心に展開された、自由や平等を求める運動です。この運動で求められたものの一つに、普通選挙がありました。

当時の選挙制度では、満25歳以上の男子であり、かつ、定められた金額以上の税金を納めている人にしか選挙権がありませんでした。普通選挙とは、この選挙権を持てる資格の中から、納税条件を撤廃することです。国内で普通選挙を求める動きが広がる中、当時の政府は少しずつ納税額の条件を減額していき、前年の1919年に衆議院議員選挙法を改正して、納税額10円以上から3円以上に変更しました。この改正が適用される初めての選挙が、5月10日に実施されました。

助役日誌には、当時の選挙の状況が克明に記されています。当時は、なんと町長たちが投票箱の寝ずの番をして、後日、開票が行われました。選挙速報がその日のうちに流れる現在とは、大違いですね。

第1回国勢調査

初めてつながりですと、こんなこともありました。第1回国勢調査の実施です。5年に一度行われる国勢調査は、2020年にも実施されましたが、ちょうど100年前に第1回の調査が行われました。

助役の日誌からは、初めての全国一斉調査として、5月頃から準備が念入りに行われていた様子がわかります。国民に調査の重要性を周知するために、当時最先端のメディア、活動写真も駆使して、普及活動が行われました。そして、運命の10月1日午前0時。調査員たちを迎えた出来事とは…?

詳しくは、10月24日の記事をご覧ください。

この他にも、長く大磯小学校の校長を務めた朝倉先生の退任、新しい町役場の開庁式など、大磯にとって大事な出来事がありました。

1920年は、日本で初めて国会が開かれた1890年(明治23)からちょうど30年。この30年で日本は、日清戦争、日露戦争を経験し、明治維新以来進めてきた富国強兵が、実を結び始めてきた時代だったとも言えます。大磯も、そのような近代化を享受していたことが、助役日誌からうかがえます。

「100年前の大磯」の企画は、2021年も続けます。引き続き、お楽しみください。

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