大正13年10月24日

更新日:2024年09月15日

10月24日(金曜日)、午前7時出勤。

本日は東京地方専売局芝工場職工男女合わせて2400人の慰安会が、村井別荘内で行われ、精勤授与式には町長と共に参加した。式が終ってから禱龍館へ移動し、昼食をとった。

午後1時から台町海岸において運動会の余興があり盛会だった。午後4時半頃、後片付けを終えて役場へ引き揚げ、午後6時頃に帰宅した。

解説

村井別荘とは、明治35(1902)年頃、現在の大磯高校の東側一帯に別荘を構え、「煙草王」と称された実業家村井吉兵衛の別荘のことです。

村井吉兵衛は文久4(1864)年に生まれ、京都で煙草商を営む叔父初代村井吉兵衛の養子となります。家業を発展させようと、国内製造のシガレット(紙巻きたばこ)の販売を目指し、明治24(1891)年、日本初の両切り紙巻煙草「サンライス」、明治27(1894)年に「ヒーロー」を発売し、生産日本一の煙草会社となりました。明治37(1904)年に煙草が国の専売となると、多額の補償金を受け取り、村井銀行の設立や大阪での製糸工場、九州の石炭採掘、北海道の石油採掘などの事業の拡大を行いました。朝鮮では農場経営、台湾では造林所経営などの多角経営を行い、村井財閥を築きました。

この日は東京地方専売局芝工場の職工2400人を招待し、勤務優秀者の表彰式と慰安会を開きました。2400人が大磯駅に降り立ち村井別荘へ向かったのですから、町民は驚いた事と思います。また、2400人もの社員を収容できる村井別荘とは、どのような様子だったのでしょうか。大磯の村井別荘には、園芸試験場が併設されていたようですが、記録や写真がほとんどないのが残念です。

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