大正14年8月30日
8月30日(日曜日)
午前8時頃、町長の自宅へ寄り、町長と共に田中別荘にご滞在中の賀陽宮殿下を訪問し、井上製の蒲鉾を持参しお礼を申し上げた。
本日は岩崎家の技師をしていた小山一郎博士が大磯に来られ、上水道水源地の調査をした。土木委員を現場に召集し、小島・中西・山梨・真壁・安部川・柳田6名と町長・助役も参加した。小山技師及び山中技師と共に付近の地勢を調査をし、その結果について種々説明があった。松月にて昼食を摂り、技師への贈り物として井上蒲鉾3本を贈った。茶菓子を新杵から、氷水5つを金子(商店)から購入した。午後4時20分に小山技師は東京へ戻られたので、帰宅した。
解説
井上蒲鉾は大磯の名品として有名ですが、当時からお土産品として利用されていたのが分かります。井上かまぼこ店の店内に掲示されている資料によると、嘉永5(1852)年に小田原で生まれた平吉(初代)が、大磯の井上伝吉の養子となり、慶応3(1867)年に呉服商を営んだのが始まりです。明治9(1876)年に 泥棒に入られほとんどの反物が盗まれてしまったため、明治11(1878)年に蒲鉾店に転業し「井上蒲鉾店」を創業しました。ちなみに、大磯に住んでいた吉田茂は、井上蒲鉾店のはんぺんが好物で、吉田邸に訪れた方々にお土産として薦めていました。























更新日:2025年08月02日