大正14年8月6日

更新日:2025年07月05日

8月6日(木曜日)、午前8時出勤。

本日は、毎月裁判所に送付する届出書の索引を調製した。

本日、鳥羽町長の赤井氏に対し、既設水道視察の件で、便宜を図ってほしい旨の依頼状を発送した。同時に、三重県度会郡にある明野ヶ原航空学校へ、水道視察の途中に立寄るので、そのことについても依頼状を発送した。

昨5日から2日間、長島庶務兼任書記は、鎌倉郡本郷村並びに田浦町庶務視察の県内相互視察に出張した。

午後1時から、海水浴場委員を召集した。出席者は、曽根田・山梨・真壁・柳田・宮代・鈴木・二宮の7名で、郷土は欠席した。議題の1つ目が、青年団宣伝ビラ対宮代氏の公開状についてで、団長の曽根田と宮代との融和を解決した。2つ目に、海岸において青年団主催の余興並びに、同所において町による第2回の余興を催す件を決議した。明後8日に青年団主催の余興を行い、9日に町主催の幇間踊を行う予定として散会した。会用に1円50銭分の茶菓子を三ツ引屋から購入した。午後5時に散会し、退庁した。

解説

今日、小見助役が鳥羽町(現・三重県鳥羽市)の町長に視察の依頼状を出したのは、鳥羽町が周囲の自治体に先駆けて水道事業を認可し、ちょうど工事を進めている最中だったからでしょう。鳥羽町は大正14(1925)年10月には、給水人口10,000人の上水道を完成させています。

また、視察の途中に立ち寄りたいと依頼状を出した「明野ヶ原航空学校」とは、三重県度会郡北浜村(現・伊勢市)にあった「明野陸軍飛行学校」のことと思われます。こちらも、当時としては先進的な戦闘機の空中射撃・空中戦闘の研究と教育を行う陸軍の学校として知られていましたので、見学したいと思ったのでしょう。

さらに今日は、海水浴場委員を召集しています。海水浴場を盛り上げるため、青年団も色々と提案をしているようで、町も後押しをするようです。もう一つの議題として挙げられている「青年団宣伝ビラ」と「宮代氏の公開状」については、小見助役が日誌とは別に残した「雑書綴」に資料が残されていました。それによれば、海水浴客に対し、町内で悪質な商法が見られるとして、注意喚起を促すビラを青年団が配布しようとしたところ、その内容について、町会議員(海水浴場委員)の宮代師子が公開状を出して反対したため対立してしまいました。今日の会議では、その解決を図ろうとしたようです。

参考

「雑書綴」大正13年2月~大正14年12月

『大磯町史』7、p553~556

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