大正12年5月15日
5月15日(火曜日)、午前8時25分出勤。
渡辺書記が吾妻村役場へ戸籍の件で出頭した。
中郡視学の小泉健作氏が就任あいさつのため来場された。
池田成彬氏に対して、道路に設置された垣柵の撤去の件で重ねて申進した。
戸籍事務を取り扱う。
午後4時10分、退庁する。
昨夜、大磯座にて電灯値下げ問題に関する演説会があった。大日本物価調節会幹事長の長谷乾次郎氏などが演説を行った。
解説
池田成彬は、当時三井財閥のトップを務めていた大物です。大磯には、1921年(大正10年)に池田成彬によって池田農園が設立されました(別荘建築は1932年(昭和7年)になります)。おそらく、その農園の垣根が道路をふさぐなどの問題を起こしているものと考えられます。大物とはいえ、小見助役が厳正に対応している様子がうかがえます。
昨日、密議が行われていた電灯値下げ問題について、大磯座で演説会が行われています。大日本物価調節会とはあまり聞きなれない名前ですが、読んで字のごとく、物価調節を議論する団体だと思われます。演説会が行われるほどですから、電気料金の問題は町民の多くが共有する問題だったと考えられます。
更新日:2023年05月15日