大正10年7月9日

更新日:2021年07月09日

7月9日(土曜日)、午前7時50分出勤。

戸籍謄抄本事務に従事した。

午前9時から、大磯警察署において、貸家貸間組合の協議会があり、藤田町長と衛生主任の加藤書記が出張して参加した。

明日正午から、山梨陸軍大臣の祝賀会が開かれる。賛成者は、大磯町役場が勧誘した人員38名。会費114円を郡役所へ送金し、領収書を受け取った。長島書記と中西巡視の二人は、村井邸内の祝賀会式場準備のため、同所へ中郡役所の依頼を受けて手伝いに出張した。

午後1時退庁。

解説

明日に迫った山梨陸軍大臣の祝賀会に向け、準備が着々と進められています。

その一方で、今日は、警察署で町長を交えて「貸家貸間組合協議会」が開かれました。現在も駅前にある「海内第一避暑地の碑」に見られるように、100年前の大磯は気候温和な地として、夏は避暑地・冬は避寒地として大勢の宿泊客を迎え入れていました。旅館は数多くありましたが、それでも特に夏場は宿泊場所が不足しました。さらに病気療養や保養のため長期に滞在する人もいて、貸家や手頃な貸間(貸部屋)を利用する人々が多かったのです。町民もその需要に応えて、部屋数に余裕のある人はもちろん、普段暮らしている母屋を貸して、自分たちは物置で暮らす人もいました。資料によれば、貸別荘(8畳2間・6畳2間・玄関・風呂付)は夏場3か月で200~250円。貸間(1畳あたり2円前後)だったようです。

この他にも、夏場は多くの町民が海水浴客相手に様々な商売をしていました。夏場の収入で一年暮らすという感覚は、この後も町民の中に長く残り、昭和の時代まで続いていたように思います。

参考文献

大磯町編『大磯町史民俗調査報告書5 大磯の民俗(2) 大磯・東町・高麗地区』大磯町、1998年

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