大正10年5月30日
5月30日(月曜日)、午前7時30分出勤。
昨日、日曜日に秦野町役場で町村事務研究会が開催され、佐藤書記が出席した。研究会では、吾妻村から次の提案があった。
- 小学校の児童が見学の名目で遠足などを行う場合、引率する教員の旅費は決められた金額を支給しなくても構わないと解釈している。教員の旅費を一律に規則で定めるのはいかがか。
- 家屋を証明するにあたり、根拠となる法令がない。そのため、もし、家屋税を徴収しない町村が家屋台帳を調製したとしても、結局不備があり、間違いの証明を出してしまうことがある。間違えない方法があるだろうか。
- 未成年者が印鑑証明を申請する際、多くは認印か三文判で印鑑証明としているが、このままで差し支えないか。
本件について、具体的な改善案はなかった。
今日は、戸籍謄抄本事務に忙殺される。
午後に迷子が発生して、町長が警察署に相談に出かけた。
午後4時20分退庁。
解説
秦野町役場で町村事務研究会が開催されました。吾妻村からの提案は、細かい事務手続きの話ですが、当時の書記たちも、日々の事務を検討していた様子がうかがえます。残念ながら、さしたる改善策がなかったようです。
印鑑証明は、明治11年(1878)の太政官達第32号で、自治体の長が任を負う自治事務となりました。以後、明治21年の市町村制実施、昭和22年(1947)の地方自治法施行後も、この原則は変わっていません。
更新日:2021年05月30日