大正10年5月27日

更新日:2021年05月27日

5月27日(金曜日)、午前7時30分出勤。

本日は戸籍謄抄本事務に忙殺される。

午後2時から、藤田町長は大磯銀行・関東銀行の大磯支店に出張された。用件は、登記所建築時の借入金返済に関する交渉。午後3時50分に帰庁される。

午後4時20分退庁。

解説

大磯町は、平塚町との中郡役所移転問題の対策として、税務署と登記所を町費で建設しました。登記所の改築費は、大正6年(1917)3月に関東銀行と大磯銀行から、1,200円ずつ、2,400円を借入れました。契約内容は、年利6%で大正10年7月末まで、また毎年3月末に大磯町基本財産として240円を、1,200円に達するまで預金することでした。債務者は、白根町長(当時)・小見助役・町会議員など13名です。借入金の利子については、月10円の登記所の家賃収入で賄うはずでしたが、大正7年には年利9%になるなど、金利の上昇がありました。

大正8年には、利息制限法が公布されています。さらに、大正9年(1920)3月には、株式市場が暴落し、第一次世界大戦後の反動恐慌が始まりました。横浜の七十四銀行が破綻、助役日誌には、5月27日に公金を預けていた関東銀行大磯支店の取付けを心配して、大磯警察署へ様子を聞きに行っています。

町の歳出決算総額は、大正3年は20,287円、大正10年は55,653円で約2.7倍に増えていました。インフラ整備・金利上昇・戦後不況と、町は財政に苦慮しています。

参考文献
  • 鈴木昇『大磯の今昔』(八)、1998年、p.179~187
  • 大磯町編『大磯町史』7、2008年、p.313~314

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