大正10年3月2日

更新日:2021年03月02日

3月2日(水曜日)、午前7時50分出勤。

午前7時半頃、陸軍一等主計の中村善保氏が来場し、現地戦術実地演習のため町長に面会を求められた。 町長は出勤前で不在だったため、小生が代わって挨拶した。同時に、渡辺主任書記と加藤書記を現場に出張させ、いろいろと対応した。宿営舎は、長生館をあてることにした。

午後4時10分退庁。

解説

2月28日の記事にあったとおり、この日から、横須賀重砲兵連隊が大磯町に宿営を始めました。

「陸軍主計」とは軍隊の兵科の一つで、経理・被服・烹炊(ほうすい/煮炊き)など、いわば軍隊の裏方的な役割を担う部署のことです。

当時、軍は日露戦争と第一次世界大戦の経験から、より実戦的な軍事演習を国内各地で行うようになっていました。 演習が行われると決まれば、大掛かりな宿泊や接待の準備が必要となります。参加者に皇族・高級将校がいれば、特別な待遇が必要で大変でしたが、地域経済がうるおう一面もありました。

しかし一方で、国民の間には度重なる戦争の記憶から「反軍」「反戦」の感情が少なからずあり、地域の協力と理解は欠かせませんでした。この日、早朝から陸軍一等主計が町長に面会を求め、小見助役や書記たちが対応したのは、そのような背景があってのことと思われます。

なお、長生館は神明町(現在のJR線路より山側)にあった旅館です。

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