大正9年11月10日

更新日:2020年11月10日

11月10日(水曜日)、 午前8時30分出勤。

本日は、日本赤十字社本社により収容・救護されつつある波瀾国の児童救済義援金20円45銭を 中郡委員部へ送金した。

役場庁舎内において、午後1時より郵便局長会議があった。

小学校教員の増俸辞令が、中郡役所より発送された。

午後4時10分退庁。

解説

波瀾国とは、ポーランドのことです。

ポーランドの児童救済とは、当時シベリアに取り残された700人以上のポーランド人孤児を日本赤十字社が中心となって救済し、東京や大阪で養護した後、ポーランドへ帰国させたことを指しています。

18世紀からヨーロッパ列強により分割され、その後も事実上国家が消滅していたポーランド。1918年(大正7年)に独立を回復したものの、シベリアには、政治犯として流刑になったり戦乱から逃れるため流民となったりしたポーランド人が大勢いて、彼等がロシア革命とそれに続く内戦のため窮地に追い込まれた結果、親を失った大勢の孤児がそのまま現地にとり残されていました。1919年(大正8年)10月、ウラジオストク在留のポーランド人達が当時シベリアに出兵していた欧米諸国に救済を懇願しましたが、すでに撤退し始めていたことを理由に受け入れられず、動いたのは残っていた日本のみ。指示を受けた日本赤十字社は、日本軍の協力を得て、翌1920年(大正9年)7月下旬から翌年にかけ、シベリア航路があった敦賀を経由し、まず375人を東京に、1922年(大正11年)には大阪に390人を受け入れて救済しました。

孤児等に対する待遇は手厚かったようで、皇后から御下賜金が届けられ、全国から多数の寄付金や物品が寄せられたといいます。またこの時、東京に来た孤児の間で腸チフスが流行し、孤児は全員回復しましたが、感染した看護婦一人が亡くなりました。このような状況下、大磯でも義援金が集められたのだと思われます。

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