大正9年11月8日
11月8日(月曜日)、 午前8時5分出勤。
本日も佐藤書記は病気欠勤。栢木書記も欠勤。
午後1時より、本年度徴兵合格者に対し、中郡役所で第1回流行病予防注射を行い、渡辺・長島両書記と町長が参加した。
昨日7日、パラチブス患者2名を隔離舎へ入院させた。
午後3時に町長は帰庁。すぐに早退された。
明日9日、中郡役所において高等女学校の敷地寄付に関する協議会として町村長会があり、藤田町長は参加する予定。
本日は、伊勢大神宮の御祓札を3箱預かった。
午後4時10分退庁。
解説
町内でパラチブス患者が発生しました。パラチブス(パラチフス)は腸チフス同様、経口感染の伝染病で度々流行していました。今日は中郡役所で本年度徴兵検査で合格した者に対し、予防注射が行われています。集団生活を前にした対策と思われますが、「流行病」が何を指すのか、世界的に大流行したスペイン風邪(インフルエンザ)かもしれませんが、具体的には書かれていません。
小見助役が預かった伊勢大神宮の御祓札は、正確には「神宮大麻」(じんぐうたいま・おおぬさ)といい、江戸時代まで伊勢神宮を参拝する人々を世話する御師(おんし)が頒布していましたが、明治になり国家神道が形成されると伊勢神宮が組織した神宮教院が全国頒布するようになりました。年末よりかなり早い時期に役場に届けられていたことがわかります。現在も年末に町内会を通じてお札の頒布が行われていますが、それはこの名残と言えるかもしれません。
更新日:2020年11月08日