大正9年8月2日
8月2日(月曜日)
本日は忌引のため欠勤。
午前9時から10時までの間、高来神社で平和克復報告祭があった。例祭を行う時と同様に供進使が参上し、藤田町長が参拝した。 午後2時、村社白岩神社でも報告祭があった。自分が忌引のため、町長の代理として渡辺書記が代わりに供進使となって代拝した。
午後2時40分、朝香宮殿下が大磯の村井別荘へおいでになったので、藤田町長が停車場で奉迎した。
解説
小見助役は、忌引で欠勤しました。
先月31日に準備した「世界戦乱平和克復祭」が、高来神社と白岩神社で行われました。世界戦乱とは、第1次世界大戦(1914年7月28日~1918年11月11日)の事。平和を願う祭事を行ったと思われますが、詳細はわかりません。
朝香宮殿下とは、明治天皇皇女允子(のぶこ)内親王と結婚した朝香宮鳩彦王(やすひこおう)のことです。この日誌に書かれた2年後の1922年(大正11年)、留学していたフランスで義兄北白川宮成久王の運転する車に同乗していて交通事故に遭い、北白川宮は死亡、本人は重傷を負いました。回復した1925年(大正14年)、パリ万国博覧会でアール・デコ様式に触れて強い関心を持ち、1933年(昭和8年)都内港区芝にアール・デコ様式の朝香宮邸を建築しました。現存する邸宅は、東京都庭園美術館として公開されています。
また、村井別荘は煙草商村井吉兵衛の別荘で、現在の東町3丁目付近に広大な敷地を持っていました。邸内にバラや牡丹の花園があり、住民にも公開していたそうです。
更新日:2020年08月02日