大正9年7月1日
7月1日(木曜日)、午前7時20分出勤。
本日、戸田技術員は西小磯へ麦の内容検査に出張した。
昨30日、西小磯在住の渡辺廣三氏が、槇と百樹香を寄付された。
中西巡視は海水浴場を掃除。
午後より新杵から町内の各別荘へ祝餅を配布。長島・佐藤書記が付き添って配布した。
午後2時頃から高麗神官が、本年の高来神社例祭について氏子惣代を町役場に召集した。
柏木書記欠勤、渡辺書記早退。
午後5時5分、梨本宮両殿下が東京へお帰りになられるので、町長と共に奉送した。また、午前10時36分、皇后陛下が沼津へ行啓され、停車場にて奉迎した。
午後5時20分退庁。帰宅の途中、滞納の件について相談した。
本日は、梨本宮家御慶事のため、西小磯へ150円の御下賜金をいただいた。
解説
この日の日記は、書記2人が留守になり忙しかったのでしょうか、出来事の時刻が訂正されたり前後して書かれています。
この年の4月、梨本宮家長女の方子(まさこ)女王が朝鮮李王世子の李垠(イ・ウン)と婚姻しました。宮家から別荘があった西小磯地区へ、御下賜金があったようです。町内別荘への祝餅は、この慶事を祝ってのことでしょうか。また、渡辺廣三による樹木の寄付も、槇(まき)や百樹香(百日紅(さるすべり)?)が縁起の良い樹木とされているので、御成婚の記念樹として、どこかに植えられたのかもしれません。
更新日:2020年07月01日