大正9年6月24日

6月24日（木曜日）、午前7時50分出勤。

中郡長から請求された軍事用戸籍謄抄本の調製が終わり、町長の認証を受けた。

病欠していた戸田技術員が出勤した。

三宅役場建築委員から、移庁式の件と門柵の建設について、問い合わせがあった。すぐに小巻甚太郎氏に依頼したが役場に来なかったため、町長は佐藤書記に指示した。その結果、明日25日から工事に着手するとのこと。

午後4時10分退庁。

帰宅の際、ジョサイア・コンデル氏が22日に亡くなったとの訃報を受けた。明後日午後2時、芝区栄町の聖アントレー教会で葬儀が行われる予定。

ジョサイア・コンデル氏は、ジョサイア・コンドルのことで、イギリス出身の建築家です。明治10年（1877）に日本の工部大学校の教授として来日し、鹿鳴館、ニコライ堂、政・財界の邸宅等を設計しました。大磯の別荘群の中では、赤星鉄馬の別邸（現存しない）の設計図を、京都大学貴重資料デジタルアーカイブで見ることができます。立体図は彩色されて美しいものです。

6月10日に、妻の前波（まえば）くめが亡くなったばかりの訃報でした。コンドルが亡くなった日は、6月21日と知られていますが、くめと同じく、小見助役には翌日の22日として伝わっています。

葬儀が営まれた聖アントレー教会は、アレキサンダー・クロフト・ショーという、カナダ出身の宣教師（1846〜1902）が、明治9年に設立した教会です。福沢諭吉の息子の英語教師をした関係から、慶応大学の教師も勤めました。ショーは、夏の避暑地として軽井沢町を外国の要人に紹介したため、軽井沢では、「軽井沢の恩人」として毎年8月1日に「ショー祭」が開かれています。ちなみに、聖アントレー教会は、東京都港区芝公園3-6-18、東京タワーの近くにあります。