大正9年3月3日

更新日:2020年03月03日

3月3日(水曜日)、午前7時50分出勤。

裁判所および税務署ヘ提出する事件本人表を清書した。 そのほかに、戸籍謄抄本を取り扱った。

今朝9時頃、藤田町長は朝倉校長退職の件について、小学校に出かけて本人と面談した。

鴫立庵屋根替えの契約書・見積書に記載漏れの個所があったので、挿入訂正をした。

町長から、衆議院総選挙のための選挙名簿を作成するよう、二宮主任書記に命令があった。

加藤書記は親戚の葬儀のため早退。

今日付けで、国税(田租)・県税追加分・町税(家屋税・付加税)を完納した。

午後4時20分退庁。

なお、今日は二宮・加藤書記を除く書記らで、興があるとか何とか…。

解説

当時裁判所は小田原に、税務署は町内にありました。

朝倉校長に対しては、退職を惜しむ声が多かったのでしょう。町長が自ら話をしに行ったようです。

町長が作成を命じた選挙名簿とは、選挙人名簿のことと思われます。当時選挙権を持つ人は、町内に1年以上居住している男性で、25歳以上・国税を3円以上納めている者とされていましたから、現在よりかなり人数が限られます。

また、この日で国税・県税・町税を「完納」したと記載していますが、当時国税は地方税と共に市町村に納め、その内の国税分を国庫に納付する方式だったため、納税者が現金を役場に持参するのが一般的でした。区長が取りまとめたり、担当書記が直接徴収しに行った様子も日誌には記載されています。また、徴収税額に対し一定の割合で市町村交付金も交付されました。「完納」は、滞納を出さず無事全額国庫に納めることができた、という安堵感から出たものでしょう。これを踏まえて考えると、最後の1行は慰労の宴会などを開いたということかもしれません。

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