常設展示

更新日:2017年03月01日

エントランスホール

城山荘保存部材

城山荘保存部材

三井家の別荘であった城山荘の保存部材を再現展示しています。

プロローグ:大磯の風土とかたち

大磯の風土とかたち

大磯の風土とかたちのコーナー

大磯の景観を詠んだ詩歌と、繩文人の感性によって形作られた繩文土器から、大磯の風土を思い起こします。

A:いにしえの暮らし

A-1:器の変遷

注口土器

大磯小学校遺跡 注口土器

器は、古来から人々の生活に深いかかわりを持ってきました。日本では、1万年以上前から繩文土器という器が存在します。繩文土器から弥生土器、土師器、須恵器、さらに陶器、磁器と移り変わる器を紹介しています。

A-2:横穴墓

横穴墓の復元模型

横穴墓の復元模型

大磯丘陵は、全国でも屈指の横穴墓群密集地域です。横穴墓とは、崖面に横穴を掘って墓室を形づくる、古墳時代後期の埋葬施設です。当館の常設展示室では、横穴墓の復元模型を展示しています。

A-3:相模の国府

銅印

馬場台遺跡 銅印

銅印の印面

国府とは、日本古代の大和政権が地方を治めるためにおいた行政区分の内、「国」と呼ばれた行政区分の役所を表します。現在の県庁にあたると言えば、イメージしやすいかもしれません。相模国の国府の所在地は、長く3回移ったと言われてきましたが、発掘調査などの成果によって、大住郡南部(平塚市域)から余綾郡南部にあたる大磯の地に移った二遷説が有力になっています。

B:自然のいとなみ

B-1:大磯丘陵の動植物

タブノキ

タブノキ

大磯丘陵には、タブノキやスダジイなどの常緑広葉樹の樹林帯があり、一年をとおして緑の木々が目立ちます。緑豊かな環境と丘陵の各所に見られる小川などの水環境は、大磯本来の野生生物の生活を支えています。

アカウミガメ

アカウミガメ

相模湾は黒潮の恵みによって、多くの生物が生活し、学術的に珍しい生物も知られています。大磯においても、照ヶ崎の岩場を中心に多くの種類の生物が見られます。特に、初夏から秋にかけて集団飛来するアオバトは、全国的にみて飛来地が少なく、町の自然を代表する野鳥です。また、年によっては、砂浜でアカウミガメの産卵が確認されることもあります。

C:祭りがつなぐ心

C-1:祈りのかたち

山の神

山の神

豊かな恵みを与えてくれる相模湾や大磯丘陵の自然は、時として厳しく、暮らしや生命さえもおびやかすことがあります。人々は日々の営みの中で、海や山に感謝し、怖れ、安心して暮らせることを願って神仏に加護を求めてきました。身近にある大きな木や特徴的な岩、路傍の石仏などは、大磯に生きる人々の祈りの心を表すものとして、今も私たちの暮らしの中に息づいています。

C-2:海に願う祭り・大地に託す祭り

左義長

左義長

相模湾と大磯丘陵に囲まれた大磯では、人々の暮らしとともにある海や大地を舞台とする祭りが数多く行われています。大磯に現在も伝わる祭り、左義長、白岩神社の祭礼、高来神社の山神輿、国府祭、御船祭、西小磯の七夕を、関係資料と映像によって紹介しています。

D:憧憬の地

D-1:大磯の寺と神社

高麗寺

高麗寺の図(『相中留恩記略』より、国立公文書館内閣文庫蔵)

大磯には古くから伝わる寺院や神社が見られます。特に、鎌倉時代は、現在は廃絶してしまった高麗寺や新楽寺などが栄え、大磯周辺は宗教都市としての一面もありました。

D-2:東海道大磯宿

東海道五十三次之内大磯

「東海道五拾三次之内大磯」(大磯町郷土資料館蔵)

大磯宿は、江戸から数えて東海道の8番目の宿駅でした。規模が小さかったため、隣接する東小磯村を加宿として人馬の継ぎ立てを行っていました。小さな宿場町でありながらも、大名や公家などが休泊する本陣は3軒ありました。その内、第1本陣であったと考えられる小島本陣は、関係の古文書が現在も伝わり、当館の貴重なコレクションの一つとなっています。

D-3:大磯海水浴場

祷龍館繁栄之図

「祷龍館繁栄之図」(大磯町郷土資料館蔵)

大磯海水浴場は、医師であった松本順のはたらきかけによって、大磯の住民が協力し、明治18(1885)年に開設されました。海水浴場の開設にともない、大磯停車場(現在の大磯駅)や祷龍館をはじめとする旅館が開かれ、明治20年代半ばには、大磯の海水浴場は賑わうようになりました。

D-4:文学と大磯

鴫立沢図

鴫立沢図(『相州大磯駅西鴫立沢記 完』より、大磯町郷土資料館蔵)

大磯は古くから和歌に詠まれるなど、丘陵と海に恵まれた景勝は人々の魅力となり、文学の世界に表されてきました。大磯とゆかりのある古い物語としては、仇討話として有名な『曽我物語』があり、町内には、虎にまつわる伝承が多く残されています。江戸時代には、三大俳諧道場として知られる鴫立庵が開かれ、俳諧の中心地となりました。別荘地として有名になった後も、多くの文人や芸術家が大磯で暮らしました。

D-5:近代の象徴・煉瓦

赤煉瓦

赤煉瓦造りの建物基礎

煉瓦は、西洋からの技術導入によってもたらされた、日本の近代化を象徴する資料と言えます。海水浴場開設と、鉄道の延線をきっかけとし、別荘地として繁栄を遂げた大磯においては、洋風建築や、住宅に附帯する施設、鉄道施設などに多く用いられました。

D-6:ゆかりのある人々

伊藤博文

伊藤博文肖像写真(大磯町郷土資料館蔵)

松本順

松本順肖像写真(大磯町郷土資料館蔵)

吉田茂

吉田茂肖像写真(大磯町郷土資料館蔵)

大磯は多くの著名人とゆかりがありますが、特に地域とつながりを持ち、今でも大きな影響を与えている人物に、伊藤博文、松本順、吉田茂の3人が挙げられます。当館では、この3人の関係資料を展示するためのインスタレーションケースを作成し、3人の事績を紹介しています。

D-7:別荘文化

城山荘

城山荘(『写真集 城山荘』より、大磯町郷土資料館蔵)

丘陵と海に囲まれた大磯は温暖な気候に恵まれ、明治時代から別荘地として注目されるようになりました。残念ながら、現在は、当時の別荘を見学することはできません。常設展示では、当館の所在地にかつてあった三井家の別荘、城山荘の軸組模型の他、赤星彌之助別邸と三井守之助別邸の模型を新たに製作し、展示しています。

エピローグ:湘南の丘陵と海を訪ねて

湘南の丘陵と海の物語は、当館の日々の活動によって、常に新しい物語を紡ぎ出していきます。常設展示のエピローグは、博物館活動によって生み出される新たな発見などを紹介するスペースとして活用しています。

この記事に関するお問い合わせ先

教育委員会 教育部 生涯学習課 郷土資料館
〒255-0005
神奈川県中郡大磯町西小磯446-1
電話番号:0463-61-4700
ファックス:0463-61-4660
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