令和5年度:施政方針

更新日:2023年02月17日

 町長は、令和5年3月議会初日(2月13日)に令和5年度の町政運営の基本方針及び主要施策について「施政方針」として次のとおり述べました。

はじめに

令和5年度施政方針演説

 令和5年度当初予算案の審議にあたり、町政運営の基本方針及び主要施策について、その概要をご説明申し上げるとともに、あわせて、私の所信を申し述べ、提案理由といたします。
 はじめに、令和2年初頭よりまん延している新型コロナウイルス感染症の影響により、これまで当たり前に行ってきた町のイベントや事業、特に子どもたちが楽しみにしている幼稚園、保育園、小中学校での各種行事が中止や規模縮小開催となったことは、子どもたちにとって本当に辛いことであり、子どもたちの心に影響を及ぼしたのではないかと思います。
 令和5年もスタートし、町内各地で、新型コロナウイルスの感染症対策を徹底して、賀詞交換会、消防出初式、大磯の左義長、そして大磯一周駅伝大会など、多くのイベントや行事などについて3年ぶりに開催することができました。
 しかしながら、しばらくはコロナ禍での町政運営になることが避けられない状況にあるため、感染症対策を徹底しながら、町民の皆様が元気で、笑顔になってもらえるよう、工夫しながらイベントや行事などを開催してまいります。
 次に、私がこれから進めていく町政運営については、昨年11月の町長選挙の際に町民の皆様にお示ししました6つの項目でまとめました政策集「大磯をもっと前へ。」の取組みを一つひとつ進めていくことで、もっと安心して暮らせる大磯をつくり、人口減少に歯止めをかけることに重きを置いていきたいと考えております。
 その前提として、政策を実施する職員の気持ちが何よりも重要となります。そのため、副町長に元町職員である鈴木一男氏を任命し、若手からベテランまで、すべての職員が意見を出し、話し合える職場環境を作ってまいります。
 職員が風通しよくコミュニケーションを取れる職場の環境づくりを様々な施策を進めるための第一歩にしたいと考えております。
 また、町民の皆様が役場に来ていただいた際には、気持ちよく帰っていただく、それが町民の役場に対する満足度の向上につながると考えております。役場という字は人の役に立つ場と書きます。町民の皆様にとって満足してもらえる役場になるよう職員一丸となって取り組んでまいります。
 そして、こうした環境整備を踏まえ、私は、今年を「人口減少対策元年」と位置づけ、政策集に記載した取組みを一つひとつ実現させ、もっと安心して暮らせる大磯をつくるために、町民の皆様のご協力もいただきながら、町の発展に向け持続可能な行政運営に力を注ぐ決意のもと、「大磯をもっと前へ。1stステージ」として、令和5年度予算を編成いたしました。

令和5年度予算案

 令和5年度当初予算案の概略をご説明いたします。
 一般会計の当初予算額は106億1,500万円で、前年度予算額99億6,816万円と比べ、6.5%の増となります。
 歳入面での主な増減要因は、町民税の新型コロナウイルス感染症による景気減速からの一定の回復を見込み、町税全体として、前年度比で約8,000万円の増を見込みます。
 地方交付税は、近年の交付実績を踏まえ、社会保障関連経費などの需要額の増を見込み、2億6,000万円の増となります。
 国庫支出金は、明治記念大磯邸園の整備費などの増により、約1億900万円の増となります。
 繰入金は、財政運営に必要となる一般財源を確保するため、基金からの繰入により、1億7,500万円の増となります。
 町債は、地方交付税の増に伴う臨時財政対策債の減により、約8,000万円の減となります。
 歳出面での主な増減要因は、扶助費が、こども医療費の助成拡充に係る経費などの増により、約5,800万円の増、物件費が、原油価格・物価高騰による影響や、学校職員校務用コンピュータの整備、ウィークリー打ち上げ花火の実施などにより、約2億7,500万円の増、また、補助費等が、小学校給食費の無償化や、火葬料補助限度額の拡充などにより、約1億2,400万円の増となります。
 また、普通建設事業費は、明治記念大磯邸園整備事業や公園遊具のリニューアル工事、新型救助工作車の配備などの増により、約2億2,700万円の増となります。

 次に、特別会計の当初予算額についてです。
 国民健康保険事業特別会計、後期高齢者医療特別会計、介護保険事業特別会計の3特別会計が76億4,000万円で、前年度比1.0%の減、また、一般会計から特別会計への繰出金は、約11億9,300万円で、前年度比0.9%の増となります。

 各特別会計を個別にご説明いたします。
 国民健康保険事業特別会計の当初予算額は34億3,000万円で、前年度予算額34億6,900万円と比べて1.1%の減です。
 歳入面では、被保険者数の減少により、国民健康保険税は前年度比1.0%の減となります。
 歳出面では、歳入面と同様の要因により、保険給付費が前年度比2.2%の減となります。
 一般会計からは、約2億2,500万円を繰り入れます。

 後期高齢者医療特別会計の当初予算額は11億2,600万円で、前年度予算額11億200万円と比べて2.2%の増です。
 歳入面では、被保険者数の増により、後期高齢者医療保険料が前年度比1.1%の増となります。
 歳出面では、保険給付費などの増により、後期高齢者医療広域連合納付金が前年度比2.0%の増となります。
 一般会計からは、約4億7,900万円を繰り入れます。

 介護保険事業特別会計の当初予算額は30億8,400万円で、前年度予算額31億4,500万円と比べて1.9%の減です。
 歳入面では、被保険者数の減などにより、介護保険料が前年度比2.5%の減となります。
 歳出面では、介護サービス利用などの減を見込み、保険給付費が前年度比2.2%の減となります。
 一般会計からは、約4億8,900万円を繰り入れます。

 企業会計を適用している下水道事業会計の当初予算額は、下水を処理するための収益的収入が、9億6,060万6千円で前年度比1.1%の増、収益的支出が、9億1,379万円で前年度比4.0%の増、また、下水道施設などを整備するための資本的収入が、9億6,221万4千円で前年度比33.8%の減、資本的支出が、13億2,581万円で前年度比24.4%の減となります。
 一般会計からは、約5億1,600万円を繰り入れます。

 次に、この予算編成における令和5年度の主要施策についてご説明いたします。

令和5年度の重点的取組み

 大磯町の人口ビジョンにおいては、現在の約3万1,000人の人口が、国の関係機関の推計では2030年(令和12年)には約2万8,000人と、あと7年で3,000人も大きく人口が減ってしまう見込みとなっております。そのため、大磯町第2期人口ビジョンでは、合計特殊出生率を上昇させるとともに、子育て世代の転入促進、転出抑制を図ることで、人口減少の幅を縮小させ2030年(令和12年)に約3万人の人口を維持することを目標に掲げております。
 私は、人口減少に歯止めを掛けるためにも、「子育て・教育環境の向上」、「福祉・医療の充実」、「地域活性化」、「自然環境保全」、「防災」、「行政機関・その他」、これらの6つの政策に重点を置き、様々な取組みを進めてまいります。
 私の初めての予算編成となる令和5年度の当初予算は、そのファーストステージとなる予算編成となります。

 それでは、人口減少対策元年となります、令和5年度の重点的取組みについて6つの項目に沿ってご説明いたします。

 まず、1つ目の「子育て・教育環境の向上」についてです。
 小学校給食については、子どもたちにおいしい給食を安心して食べてもらうとともに、保護者の経済的な負担を軽減するため、4月から給食費の無償化を行います。
 また、小学生にとって、身近な学校給食を通して、新鮮で安全なオーガニック食材や大磯産の食材の良さを知ってもらう機会の提供ができるように、生産者をはじめとした関係者の皆様とも調整を図ってまいります。
 中学校給食については、教育委員会とも連携を図りながら、早期再開に向けて、学校、保護者、地域の皆様の意見を聞き、校舎の建替えも含め、再検討を開始します。再開までの間は、引き続き、中学生の学校における昼食を支援するため、希望者へのお弁当の販売、コロナ禍における保護者の財政的負担を軽減するための昼食費の補助を継続してまいります。
 小・中学校の校舎整備については、現在、町立の小学校及び中学校の校舎は、建築後40年以上経過した建物の面積が教育施設全体の約4割を占めている状況にあり、老朽化に伴う施設改修の必要性が増しており、建築部材・設備機器の経年劣化は安全面や機能面で不具合を引き起こす恐れがあります。そのため、学校施設を児童・生徒が安全・安心に利用できるよう徹底的な点検と修繕を行いつつ、町立小・中学校4校の施設整備方針などを定めるための『学校教育施設整備基本構想』を策定してまいります。
 中学校の部活動については、国が示す中学校部活動の地域移行の考えを踏まえ、専門性があり、子どもたちの健全育成に意欲のある外部の指導者が指導する環境を整えることで、現行の部活動の在り方を変えずに、小学生なども含め、町の子どもたちが気持ちよく参加し、活動できるなど大磯式の持続可能な部活動の実施に向け準備を進めてまいります。
 インクルーシブ教育の推進については、神奈川県のインクルーシブ教育の方針を踏まえ、町としてすべての子どもが、ともに学びあう教育を推進してまいります。教育支援員や指導協力員などの多様な人材を学校に配置し、すべての児童・生徒が可能な限り同じ場で育ち、学ぶ環境を整えることで、子どもたちが互いを理解しながら、社会性や思いやりのこころを育むことを目指してまいります。
 次に、令和4年度から町立学校・園に設置された学校運営協議会、いわゆるコミュニティ・スクールについては、設置後、地域の方々や保護者などと熟議を重ね、地域とともにある学校を目指し進められております。  令和5年度は、学校と地域の連携をさらに深め、地域全体で子どもたちの学びや成長を支えて行くことができるよう、町立学校・園へ地域コーディネーターを派遣し、コミュニティ・スクールと地域学校協働活動の一体的な推進を図ります。
 次に、子育て支援についてです。
 始めに、こどもの医療費助成については、子育て中の保護者の経済的負担を軽減し、安心して子育てできる環境づくりをより一層支援するため、これまで中学校3年生までだった対象を、4月から高校3年生までに拡充します。
 待機児童対策については、大磯幼稚園を町立の認定こども園として運営を開始するため、必要な施設の整備や老朽化対策を行ってまいります。なお、移行にあたっては、保護者の皆様の気持ちに寄り添い、丁寧に説明を行ってまいります。
 さらに、子どもの居場所や遊び場としても重要な役割を担っている町内の公園については、昭和50年代に整備された公園が多く、施設の老朽化などが顕著になっていることから、特に子どもの利用が多い「なかよし公園」と「馬場公園」の2か所の、遊具やベンチをはじめフェンスや植栽など、公園全体をリニューアル化してまいります。また、他の公園についても、要望などを踏まえた計画的な改修や、照明器具をLED化に更新してまいります。
 そして、昨年7月に要望書をいただいたスケートパークに関しましては、整備に向け、町民の皆様を交えた検討作業などもスタートしてまいります。
 さらに、子どもや家庭に対する支援施策を着実に推進していくため、(仮称)第3期子ども笑顔かがやきプラン(令和7~11年度の5か年)の策定に向けて、計画策定の基礎となるアンケート調査を実施してまいります。
 出産・子育て応援交付金については、母子保健コーディネーターと子育てコンシェルジュが協力し、既存の取組みを活用しながら事業を実施することで、妊娠時から出産・子育てまで一貫した伴走型相談支援の充実を図るとともに、現金給付による経済的支援を一体として行ってまいります。
 なお、子育てコンシェルジュについては、つどいの広場から飛び出して、幼稚園や健診会場などに出張相談に伺うことで、孤立感や不安感を抱く妊婦や子育て家庭に寄り添った支援を行ってまいります。
 こうした、子育て・教育関連事業については、特に力を入れて取り組むべき施策であると考えており、令和5年度予算は、約26億8,000万円、前年度から約3億円増の予算として、異次元の子育て支援策を、まず大磯町から進めてまいります。
 そして、この予算が効果的に執行され、町民の皆様に必要なサービスが行きわたるよう、関係各課の積極的な連携を強化するため、役場内に4月から、副町長を本部長とする「子育て支援対策本部」を設置します。

 次に、2つ目の「福祉・医療の充実」についてです。
 人口減少に歯止めをかけるには、まずは町民の皆様がいつまでも健康で、長生きしていただけることが、何よりも、大切であると考えております。
 そこで、令和3年からこれまでの2年にわたり運営上の問題を多く指摘されていました大磯町社会福祉協議会の運営立直しについてですが、社会福祉協議会と協議を行うことにより、役員の体制づくりへの支援や町職員の派遣などによる人的支援を検討していくなど、業務運営体制の強化につなげるための運営支援に取り組んでまいります。
 また、高齢者福祉については、令和3年度から開始した第八期高齢者福祉計画・介護保険事業計画に沿って、住み慣れた地域でいきいきと暮らせるよう公募により選定した東部及び西部地域の地域包括支援センターや関係機関、地域のボランティアなどと連携を図りながら、生活支援体制の強化を進めるほか、介護予防や認知症施策を推進してまいります。さらに、次期計画である第九期高齢者福祉計画・介護保険事業計画を策定してまいります。
 また、高齢者福祉計画に沿った中で、高齢者の生きがいづくりとして、豊かな経験を生かし、就業やボランティア活動などの社会参加につながるよう、シルバー人材センターへの支援を行ってまいります。
 さらに、高齢者同士の交流を活発にする老人クラブ活動の支援を行うとともに、団体の情報を提供してまいります。
 地域福祉については、令和5年3月に策定予定である「地域福祉計画」に基づき、誰もが住み慣れた地域で、多様性が認められ、社会から孤立することなく、将来にわたり安心した生活が送れるよう、地域の支え合い、助け合いによる「地域共生社会」の推進とともに、総合的・計画的な地域福祉施策の推進に努めてまいります。併せて、高齢者が地域で定期的に集まり、仲間との会話やリフレッシュ体操などを行う、介護予防の通いの場の全町内設置へ向けて、大磯町社会福祉協議会と連携して取組みを進めてまいります。
 障がい福祉については、「障がいのある人も障がいのない人も地域の中で支え合い、共に生きるまちづくり」を基本理念として、障がい児者の自立と社会参加がしやすいまちを目指し、「障がい者福祉計画」を改定してまいります。
 また、医療的ケア児等コーディネーターを配置することで、相談支援体制をより充実させ、障がい福祉サービスの円滑な利用に結び付けるとともに、障がい児においては、乳幼児期から一貫した支援計画に基づき、保健・福祉・保育・教育などの関係機関が連携し、支援体制の充実を図ってまいります。
 さらに、障がい者福祉環境の整備として、ソフト面では、4月からグループホームの家賃助成や事業所などに通所する際にかかる交通費の助成を充実させ、障がいをお持ちの方が、さらなる自立に向けた生活ができるよう支援してまいります。
 加えて、ハード面では、横溝千鶴子記念障害福祉センターの改修などを進めることにより、障がいをお持ちの方だけの利用でなく、地域の方々との交流の拠点を目指すことで、共生社会を推進してまいります。
 一方、令和5年3月1日から東海大学医学部付属大磯病院が医療法人徳洲会へ事業継承され、名称は「徳洲会湘南大磯病院」となります。町内唯一の総合病院であることから町民の皆様が安心して医療を受けられるよう、診療科の確保と長年の懸案事項である産科・小児科の再開に向けて尽力してまいります。
 また、町と中郡医師会・徳洲会湘南大磯病院との連携を深め、地域医療・救急医療・災害時の医療や健診などの保健事業をさらに充実させてまいります。
 そして、健診を受診することで疾病の早期発見や重症化予防につなげ、医療費の負担を軽減し、併せて、高齢者の健康維持と日常生活の充実を図るため、新たに、後期高齢者に対する健診受診勧奨を実施してまいります。

 次に、3つ目の「地域活性化」についてです。
 まず、海に面した大磯町の魅力の一つに新鮮な海の幸があります。この大磯町の恵まれた環境を生かすため大磯港の水揚げ量の向上を図り、地元の魚が地域で消費される機会を増やすため、大磯二宮漁業協同組合が令和5年度の操業開始に向けて準備している定置網漁業に対して事業費の助成を行うことにより、漁業の活性化を図ってまいります。
 この事業の実施により、漁業従事者の雇用が新たに創出されるとともに、大磯産の漁獲量の増加が期待され、「大磯コネクトなどでの直売事業の活性化」や、「その誘客効果による、みなとの賑わい創出」、さらには「学校給食への地元の魚の供給」などにつなげ、地域経済の振興や地産地消の推進に努めてまいります。
 また、大磯港賑わい交流施設=OISO CONNECT(オオイソコネクト)を拠点に、多くの方に大磯ゆかり産品の魅力を知っていただき、誘客につながるよう環境づくりを進めてまいります。
 さらに、産品登録制度「めいどいんおおいそ」とも連携し、地場産品の充実と付加価値の向上を図ることで、町内事業者の販路の拡大へとつなげ、「みなとオアシスエリア」から地域の賑わいを発信します。加えて、みなとオアシスエリアから地域の賑わいへとつなげていく取組みの一つとして、夏には「ウィークリー打上げ花火」や子どもたちが「水に親しむ」イベントなどを行ってまいります。
 併せて、大磯港に生育する町の木「黒松」を剪定し、維持と保存に取り組みながら、<ホッと憩える>空間づくりも進めてまいります。
 一方、公共交通サービスの維持・確保については、富士見地区の補助路線バスや赤坂台地域を中心とする予約型乗合タクシーといった交通空白地対策のみならず、免許返納に伴う高齢者や買い物・通院などの交通弱者への対策なども含めた法定計画となる「大磯町地域公共交通計画」を、昨年12月に実施した地域公共交通に関する調査結果などを踏まえ、策定してまいります。
 次に、文化・伝統行事支援についてです。
 まず、郷土資料館本館については、地域博物館として、資料の収集・保管・調査研究といった学芸活動、各種講座の開催や企画展の開催といった教育普及活動を引き続き展開してまいります。
 そして、博物館資料の適切な保存環境の維持のために燻蒸を実施し、併せて収蔵資料の整備を進めてまいります。
 さらに、別館である旧吉田茂邸においては、より魅力ある施設としてのサービス向上のため、新たな展示や室内環境の整備を進めてまいります。
 加えて、生涯学習推進計画に掲げる「文化芸術活動の推進」の実現のため、本町ゆかりの画家や文化人の方々の功績や暮らしぶり、人柄に焦点を当てた企画展を開催し、本町独自の文化・芸術を発信してまいります。
 図書館については、令和3年度から開始した電子図書館の利用案内を周知することにより、利用者層の拡大と休館時にも対応できる読書機会の確保を図ってまいります。また、子どもたちがより一層読書に親しみ、自主的な読書活動を行えるよう、調べ学習に必要な図書の団体貸出やデジタル資料の利用方法の調査・研究を行うなど学校図書館との連携を進めてまいります。

 次に、4つ目の「自然環境保全」についてです。
 まず、近年、猛威を振るっている松くい虫による松枯れの被害拡大の防止に向け、枯れ松の伐倒や松枯れ防止剤の樹幹注入、抵抗性松の補植を引き続き行うとともに、被害が大きい大磯プリンスホテルの松林についても、所有者と協力・連携した被害対策を図るなど、町内の松林の保全に努めてまいります。
 また、自然環境の維持・保全については、「豊かな自然を大切にし、多様な生物と共生するまち」として、森林・里山の整備・保全、水辺保全の推進、生物多様性の保全を推進する必要があります。
 本町は、相模湾、高麗山、鷹取山など恵まれた自然環境を有しており、ウミガメやアオバトなど本町における貴重な生物が今後も生息できるよう海岸環境を保全するとともに、川の観察会など町民参加による生き物調査、さらには里山整備などにより、有害鳥獣の被害を防止するほか、ハイキングなどによる人と自然のふれあいなどが楽しめる環境づくりの場を提供できるよう、豊かな自然環境と生態系の保全、再生を推進してまいります。
 地球温暖化、エネルギー対策については、「地球にやさしく、気候変動に備えるまち」として、省エネルギーの推進、再生可能エネルギーの推進、気候変動への対応などを進め、異常気象など様々な環境問題が深刻化する中、環境負荷の少ない持続可能な循環型社会を形成し、良好な環境を次世代へ引き継ぐことが求められます。町民、事業者、滞在者、行政が一体となって環境保全について高い意識を持ち、環境に優しい生活様式が定着するよう、省エネルギーのさらなる推進及び住宅用太陽光設備の導入など再生可能エネルギーの利用を積極的に取り入れ、町全体で環境施策の展開を図ってまいります。
 廃棄物処理については、ごみの減量化、資源化の推進による循環型地域社会を形成し、皆が自分事ととらえ、取り組むための普及啓発を継続して行っていくとともに、排出されるプラスチックごみの処理の在り方について調査、研究を進めてまいります。
 また、道路が狭いために通常のごみ収集車は入れず、自宅からごみ集積場所が遠いなど、ごみを出すことに不便をきたしている地区へ、試験的に軽自動車により収集を行うとともに、戸別収集についてもモデル地区を選んで試行的な取組みを検討してまいります。

 次に、5つ目の「防災」についてです。
 海に面した大磯町で一番に危惧されるのが津波による被害です。
 大規模な地震により最大クラスの津波が発生した場合、浸水が想定される区域内の被害が最も大きいと予測されることから、町の特性に応じた迅速かつ適切な防災力の強化が必要であると考えており、緊急時に様々な手段を使った情報発信や確実な避難体制を構築し、町民の安全・安心を確保することが「大磯スタイルの防災」であると考えています。
 また、災害時においては、情報の伝達と防災物資の確保が重要となります。そのためには、現在稼働している「防災行政無線」、「おおいそ防災・行政ナビ」に加えて、「防災ラジオ」などの新たな情報発信方法の導入を検討し、情報伝達手段の多重化・多様化による災害に強い基盤の強化を進めてまいります。
 そして、防災物資については、町の備蓄に加え、各地区が管理している防災倉庫にも保管されていることから、いざという時のために、地域が管理する防災倉庫を含めた管理状況の現状把握に努めてまいります。
 併せて、食糧や水などの備蓄については、計画的に必要量の確保を進めてまいります。
 一方、災害は、いつ発生するかわかりません。大規模災害が発生した際にその被害を最小限にとどめ、町民の生命と財産を守るため、定期的に防災ミーティングを開催し、町民の皆様からの意見などを反映させた各種訓練を実施するとともに、新たに配布するハザードマップの活用により、防災意識を高揚させ、各地区自治会などと連携を図ってまいります。
 また、自ら避難することが困難で支援を要する皆様の訓練を実施することも大変重要であることから、課題を整理しながら避難体制の強化を進めてまいります。特に、避難行動要支援者名簿に基づく個別避難計画の作成に全力で取り組んでまいります。
 そして、大規模な災害が発生すると町の機能は一時的に著しく低下することから、災害時の応急対策の円滑化を図るため、生活支援に関するものや各種インフラの整備など、民間事業者や関係機関との効果的な防災協定の締結を推進し、町民の安全・安心の確保に向け取り組んでまいります。
 次に、消防については、大規模災害時の活動拠点となる消防庁舎の安全性や機能性を確保するため、耐震診断を実施することにより施設の現況調査を行い、調査結果を踏まえ再整備に向けた検討を進めてまいります。
 また、消防団の活動拠点である消防団詰所についても計画的な改修を進めてまいります。
 さらに、消防車両の配備については、平成18年度に配備された救助工作車が令和5年度には17年が経過するため、さらなる救助体制の充実強化を図るため、車両の更新を行ってまいります。
 近年の集中豪雨や台風などによる河川などへの浸水対策については、三沢川と金目川との合流部における水門設置に向け、詳細設計業務を実施するとともに、国府新宿地区を重点とする雨水管整備を継続して進めてまいります。
 また、河川及び雨水施設の修繕、泥溜めの清掃や除草・樹木の撤去などを、引き続き行い、流下能力の確保を図ってまいります。
 さらに、下水道(汚水)・生活排水については、公共用水域の保全や生活環境の改善を図るため、市街化区域全体と一部調整区域を含めた、全体計画区域の早期整備を図ってまいります。

 次に政策集に掲げた項目の最後になります、「行政機関・その他」についてです。
 まず、大磯町役場の本庁舎整備については、これまで、現庁舎における耐震性への不安や施設の老朽化といった課題の解消や、防災拠点としての安全性の強化に早急に対応するため、新庁舎への建替えを進めてまいりました。
 しかし、改めて既存の施設の有効活用を図る観点から、現庁舎の耐震補強を行い、引き続き使用することの検討を行うこととします。早期に耐震診断を実施し、現庁舎の活用の可能性を把握したうえで、本庁舎の今後の整備の方向性について判断してまいります。
 大磯駅前広場の整備については、昨年8月に実施した町民アンケート調査の結果を踏まえ、バス停などへの上屋設置や電線類地中化工事などの設計作業の追加、交通島の一部の工事を進めてまいります。
 また、県道大磯停車場線との接続部については、将来の県道大磯停車場線の拡幅に支障が生じないよう、神奈川県との協議調整なども図りながら、注意深く事業を進めてまいります。
 火葬料の補助については、少子高齢化社会の進行により一人暮らしや高齢者のみの世帯も増加しており、高齢者を支える生活環境は厳しい状況にあります。このような社会情勢の中、本人や家族にとっても、不安のない人生を最後まで過ごすことは、すべての人の希望です。大磯で人生の多くの時間を過ごし、様々な形で町に貢献をいただいたすべての町民の皆様への感謝の思いと、支えてくださる家族の安心に寄り添うため、4月より火葬料補助金の交付上限額を9万5,000円に引き上げることといたします。
 次に、道路整備関係についてです。
 まず、神奈川県や交通管理者などの関係機関と連携・協力し取り組んでいる、県道63号、相模原大磯線の月京工区の歩道整備及び昨年度より大磯町内で事業着手しています金目川の河川改修工事を引き続き進めるとともに、国府橋周辺の不動川の河川改修工事についても、令和6年度の完成を目指し、国府橋の架け替え工事に着手してまいります。
 また、国府本郷西小磯1号線、通称マリア道や幹線28号線の歩道整備工事といった町道の整備工事を行うとともに、安全・安心な通行環境に向け、道路施設などの修繕、側溝浚渫や樹木剪定など、適切な維持管理を引き続き行ってまいります。
 次に、橋りょう、トンネルについては、5年ごとの法定点検を実施し、適切な道路構造物の維持管理、計画的な修繕工事を進めるとともに、第1期の長寿命化修繕計画が令和5年度にて終了になることから、第2期目となる計画更新作業も進めてまいります。
 また、新たな取組みとして、ESCO(エスコ)事業により、道路照明灯を発光効率が高い、長寿命な光源となるLED化へ切り替えることで、安全・安心な道路環境及びコスト削減に向けた取組みを進めるとともに、統合型GISとの連携に向け、町で管理している道路境界確定図面をデジタル化してまいります。

 さて、今までの私の政策集に掲げた6項目に沿って主要な施策への取組方針を述べてまいりましたが、次の施策についても力を入れて取り組んでまいります。
 まず、「明治150年」関連施策の一環として、国・県・町が連携し、整備を進めている明治記念大磯邸園整備事業については、令和7年度の全面開園に向け、令和5年度より旧西園寺公望別邸跡エリアの町区域の整備に着手してまいります。
 また、令和7年度からの指定管理者による管理運営に向け、仕様書の検討や条例整備などを行ってまいります。
 空き家対策については、適切な空き家の管理に向けた普及啓発及び利活用に向けた町の空き家バンクへの登録促進など、空き家解消に向けた取組みを引き続き進めてまいります。
 以上、私の町政運営に対する所信及び新年度予算の概要について述べました。

むすびに

 以上、私の町政運営に対する所信及び新年度予算の概要について述べました。
 町長に就任して最初の予算編成になりますが、政策集に掲げた6つの項目、「子育て・教育環境の向上」、「福祉・医療の充実」、「地域活性化」、「自然環境保全」、「防災」、「行政機関・その他」の一つひとつの予算化を図り、もっと安心して暮らせる大磯をつくり、人口減少に歯止めをかけて行きたいと思います。
 令和5年度は、人口減少対策元年と位置付け、これらの政策を「大磯をもっと前へ。1stステージ」として進めてまいります。
 最後に、町民の皆様、議員各位のご理解とご協力をお願い申し上げまして、令和5年度の施政方針とさせていただきます。

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〒255-8555
神奈川県中郡大磯町東小磯183
電話番号:0463-61-4100(内線:205,229,213,290)
ファックス:0463-61-1991
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