国重要無形文化財の保持者の追加認定について (令和5年7月21日記者発表)

更新日:2023年07月21日

 標記の件につきまして、国の文化審議会は、7月21日に開催された同審議会文化財分科会の審議・議決を経て、大磯町在住の重要無形文化財「竹工芸」の保持者の追加認定等について文部科学大臣に答申しましたので、お知らせします。
 答申のとおり告示されると、本町の国重要無形文化財の保持者は1名となります。

重要無形文化財 竹工芸(ちくこうげい)                                   藤塚 洋史(ふじつか ひろし) 【雅号 藤塚 松星(ふじつか しょうせい)】

1 保持者

 藤塚 洋史(ふじつか ひろし) 【雅号 藤塚 松星(ふじつか しょうせい)】(満74歳)

2 保持者の特徴

 同人は、伝統的な竹工芸(ちくこうげい)の技法を高度に体得し、異なる色に染め分けた竹ひごを効果的に用い、明快な組みもしくは編みによって斬新な造形の作品を制作して、日本伝統工芸展等で受賞を重ねるなど、高く評価されている。
 また、後進の指導・育成にも尽力している。

3 保持者の概要

 同人は、昭和24年に北海道雨竜(うりゅう)郡深川町(現 北海道深川市)で生まれ、会社勤務を経て、竹工芸作家の馬場 助治(ばば すけじ)【雅号 馬場 松堂(ばば しょうどう)】に師事して基本的な竹工芸の技法を学んだ。その後も、制作を重ねながら技法・表現を研究して研鑽を積み、竹工芸の技法を高度に体得した。
 竹工芸には幅広い技法があり、とりわけ、竹ひごを用いる編組(へんそ)技法は多種にわたる。同人はそのうち、ひごを並べ繋いで各部分を作り、それらを組み合わせる組みの技法や、網代編み(あじろあみ)​​​などの編みの技法を得意とし、器物を形作ることに重きを置いた明快な編組(へんそ)​​​​​​を行う。
 また、同人の制作の特徴は、ひごの色彩に大きな役割を与えている点にある。例えば、組みの技法では、異なる色面(しきめん)を持つ三角形のひごを並べて組むことで、作品の形を際立たせ、編みの技法では、対比的な色のひごを取り合わせて編むことで、ひごの線や編みの装飾的効果を高める。このように、異なる色に染め分けたひごを効果的に用いることで、ひごが生み出す面と線で構成された動きのある作品を作り出す。天体や自然等を主題とした、現代的で斬新な造形の作品は、竹工芸に新たな可能性を示したとして高く評価されている。
 同人は、日本伝統工芸展等を中心に作品を発表しており、平成5年、第40回展で東京都知事賞(優秀賞)、同21年の第56回展で日本工芸会奨励賞、同23年の第58回展で東京都知事賞(優秀賞)を受賞した。その後、平成24年には紫綬褒章を受章し、令和元年には第39回伝統文化ポーラ賞優秀賞を受賞した。また同人は、日本伝統工芸展の鑑査委員等を務めるなど、後進の指導・育成にも尽力している。なお、平成30年に大磯町条例表彰を受章している。
 以上のように、同人は、竹工芸の技法を高度に正しく体得しており、かつこれに精通している。

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