大磯駅前洋館(旧木下家別邸)

更新日:2021年02月05日

歴史的建造物の保存活用

 大磯駅前洋館(旧木下家別邸)は、「水沼淑子『大磯町家屋関連行政文書による別荘建築の履歴』2010年度日本建築学会関東支部研究発表会」によると貿易商木下建平氏が大正元年(1912年)に別荘として建築したものとされ、その後幾多の所有者により活用されてきました。

 また、「内田青蔵 他『小笹三郎の手掛けた住宅建築について-建築家小笹三郎に関する研究 その1-』)では、日本からアメリカに渡り、アジア系アメリカ人として初めてシアトルで建築活動を行った小笹三郎の設計であると推察されています。

 建物は、大磯駅前の相模湾を一望できる景観の良い場所に位置し、また敷地の形が三角形になっていることから、地元の人たちから「三角屋敷」とも呼ばれ親しまれています。

 我が国における住宅建築として最初期と推察されるツーバイフォー工法を取り入れており、大正12年(1923年)に発生した関東大震災でも倒壊しなかった数少ない建築物です。

 大磯駅前洋館については、過去に幾度となく消失の危機に面しており、平成17年(2005年)2月に保存を求める陳情が提出され、同年3月議会定例会の陳情審議で趣旨採択されています。

 「歴史的建造物(大磯駅前洋館)保存活用検討プロジェクト会議」・「歴史的建造物(大磯駅前洋館)保存活用検討委員会」での議論を経て、大磯駅前洋館を適正に維持管理していくため、民間企業等に貸し付けるとの結論に至りました。

 築100年にあたる平成24年(2012年)2月には、国登録有形文化財(建築物)に登録され、同年9月には景観法に基づく「景観重要建造物」にも指定されています。

特徴

竣工  大正元年(1912年)

構造  木・鉄筋コンクリート造 地下1階付き3階建て、枠組壁工法

屋根  スレート葺、切妻交叉方型ドーマー風

外壁  イギリス下見板張り塗装仕上げ

内装  漆喰塗り

建築家 小笹三郎について

小笹三郎(Sabro Ozasa)氏に関する資料は多くありませんが、氏のアメリカ シアトルでの作品の一つに「パナマホテル」があり、歴史的な建造物として登録されています。

市内の日本町の一角にあるレンガ造りの建物で、地下には銭湯があります。

また、第二次世界大戦で拘留された日系アメリカ人の所有物が保管され、2006年には、米内務省により米国国定歴史建造物として、2015年には、米国ナショナル・トラストにより国宝に指定されています。

 

***以下は、アメリカの各ホームページアドレスです。

National Historic Landmark

    https://www.nps.gov/places/panama-hotel.htm

    https://npgallery.nps.gov/AssetDetail/NRIS/06000462

 

 令和2(2020年)年12月1日には、友好親善関係の増進への多大な貢献に対し、令和2年度外務大臣表彰されています。 

在シアトル日本国総領事館のホームページ

 

現在のパナマホテル

撮影者は、いずれもCharles Johnson氏

旧木下家別邸とパナマホテル

[旧木下家別邸の上げ下げ窓]

[パナマホテルの上げ下げ窓] 

どちらも、分銅の重みでガラス枠を吊り上げるロープが窓枠に仕組まれています。

 旧木下家別邸の通路の先からは、ステンドグラス越しに大磯の海を眺めることができます。

[パナマホテルの通路]

[旧木下家別邸]

[パナマホテル]

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