吉田茂関連資料目録の刊行
このたび、吉田茂関連資料目録として『資料館資料19 吉田茂関連資料目録(一) 吉田家旧蔵資料』を刊行しました。
吉田茂の長男である吉田健一のご遺族よりご寄贈いただいた吉田家旧蔵資料は、吉田茂にまつわる貴重なコレクションで、資料点数は全部で1,288件(総点数2,462点)にものぼります。吉田茂に関連する書簡や写真、勲章、辞令など、吉田の生涯をたどる上で非常に重要な資料を多く含んでいます。
とても一度ではお見せできないので、数度にわけて、本コレクションから資料をご紹介していきます。
お楽しみに!
養母にあてた手紙
今回は、資料のなかから外交官時代に吉田茂が養母の士子に送った絵はがきのひとつをご紹介します。
外交官時代、吉田は赴任先や休暇で訪れた場所から日本にいる養子先の母親にあて、ご当地の絵はがきをこまめに送っていました。手紙の内容はご機嫌うかがいや近況報告などの短いものですが、なかには吉田だけでなく妻の雪子夫人や子どもたちのサインや寄せ書きが入ったものもあります。
今回ご紹介する絵はがきも、吉田茂と雪子夫妻の連名の手紙です。
吉田士子宛吉田茂絵はがき(表)
吉田士子宛吉田茂絵はがき(裏)
絵はがきの表に吉田が書いている文面は次の通り。
クリスマスの休ニ子ども引連れ、数日の休暇立越候
(クリスマスの休みに子どもをつれて、数日の休暇に出かけました)
一寸大磯の様な処ニてホテルの直前之波参申候
(ちょっと大磯のようなところで、ホテルのすぐ前に波がきています)
大磯よりハ少々寒むく候
(大磯よりは少々寒いです)
茂
吉田茂は、大正9年(1920)より英国大使館の一等書記官としてイギリスに赴任していました。手紙が書かれたのも、消印に「24. DE. 20」とあることから赴任した年のクリスマス・イブであることがわかります。クリスマス・ホリディを吉田は家族とイングランド南部のワイト島にある海辺の保養地・ベントナーで過ごしました。
吉田は大磯にいる士子さんのことを思い出しながら手紙を書いたのでしょうか。手紙には、ベントナーが大磯のようなところだとの吉田の感想があり、ホテルの前まで波が打ち寄せている様子が描写されています。
また、裏面には雪子夫人の寄せ書きも。
ロンドンの灰色の空になれ申候身にハ、あさぎ色の空と日の光めづらしく感じ申候
(ロンドンの灰色の空に慣れた身には、浅葱色の空と日の光が珍しく感じられます)
と、ロンドンとベントナーの空の色を比較した感想などがつづられています。
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更新日:2021年04月18日