12月の民俗マンスリー展示「ハコゼン」
民俗分野の展示では、毎月一つ、月替わりで資料を展示しています。
今月のマンスリー展示は、「ハコゼン」です。
ハコゼンは、収納を兼ねたお膳です。写真のような形状のもので、中に飯茶碗やはし、湯呑、汁物椀などを収納します。食事の際には、ふたを裏返して箱に置くことで、お膳として利用することができます。各人が自分のハコゼンを使って食事をするため、「食器は個人に属する」という考え方があることがわかります。このハコゼンは、江戸時代の商家が使いはじめたものだと考えられています。
近代になると旧来の生活を悪習としてとらえ、生活を「改善」しようとする動きが生まれます。そんな時代の流れのなかで、ハコゼンはちゃぶ台に取って代わられていきました。
しかし、現在でも家庭では、おのおのの食器が用意されています。ハコゼンからちゃぶ台、そしてテーブルへと食事の様式が急激に変化していきましたが、「食器は個人に属する」という考え方は変わりにくいものだったようです。
資料館にお立ち寄りの際は、ぜひマンスリー展示をご覧ください。
更新日:2018年11月16日