令和3年度:施政方針

更新日:2021年02月16日

 町長は、令和3年3月議会初日(2月15日)に令和3年度の町政運営の基本方針及び主要施策について「施政方針」として次のとおり述べました。

はじめに

令和3年度施政方針演説

 令和3年度当初予算案の審議にあたり、町政運営の基本方針及び主要施策について、概要を説明します。そして、私の所信を述べ、提案理由とします。
 平成22年12月から町政運営を担わせていただき、11年目を迎えました。町民の皆さんのご理解と、多くのお力添えをいただきながら、歩んでまいりました。これまで積み上げてきた取組みを継続性と一貫性を持って進め、町民の皆さんとの間に築き上げてきた「信頼とつながり」を何よりも大切にし、誰もが安全で安心に、生き生きと暮らせるまちづくりをめざし、揺るぎない強い信念のもと、町の発展に向けて邁進してまいりました。
 令和2年度を振り返りますと、一昨年の12月に中国武漢に端を発した新型コロナウイルス感染症は、全世界に脅威と深刻な危機をもたらしました。日本国内においても、首都圏を中心に瞬く間に日本全国へと広がり、4月には「緊急事態宣言」が発出され、日本の社会経済の機能が停滞するほどにまで混乱が生じました。感染症への不安を抱かざるを得ない状況の中、感染症拡大防止の観点から外出自粛の要請などにより、収入が減少し、生活に窮した方も少なくはありませんでした。
 町としては、町民の皆さんの不安を取り除くべく、まずは町民の安全・安心を最優先に考え、感染症拡大防止に努めてまいりました。そして、支援を必要としている方々に対し、国の特別定額給付金の迅速な支給を行い、感染症拡大の長期化を見据えた「感染症の拡大防止と町民の健康維持」、「町民の安定的な生活の確保」、「町内事業者の経済活動の維持」を柱とする町独自の支援策を3度にわたり実施してまいりました。
 今年の1月には、再び「緊急事態宣言」が発出され、さらに期限が延長されました。未だ「緊急事態宣言」の渦中にあり、収束の兆しが見えない状況が続いています。これから始めるワクチン接種をはじめ、これまで進めてまいりました感染症予防や拡大防止策を一層講じるとともに、コロナ禍を契機とする新しい生活様式への転換、そして、何より町民の皆さんの生活が感染症拡大以前の状況に戻ることを切に祈りながら、町としても、引き続き感染症拡大防止に向けて全力を投じてまいります。
 さて、新型コロナウイルス感染症拡大という不測の事態が続く中、今年度は、多くの事業を見送らざるを得ない状況にありました。
 しかし、その一方で、第四次総合計画後期基本計画の最終年度として、目標に掲げる「交流人口の増加と定住人口の安定化」に向けた取組みを着実に進めてまいりました。
 まず、「交流人口の増加」については、大磯港において整備を進めてまいりました「大磯港賑わい交流施設 OISO CONNECT」が昨年11月に完成し、今年の3月にオープンを予定しています。また、国や県と連携して進めている「明治記念大磯邸園」においては、昨年11月に第一期開園として、庭園の一部について常時公開が開始されました。
 一方、「定住人口の安定化」については、子育て分野における昨年10月からの小児医療費助成制度の拡充をはじめ、子育て世代の様々なニーズに合わせた切れ目ない子育て支援施策を展開してまいりました。また、教育分野に関しては、国の「GIGAスクール構想」により、児童生徒への一人一台のパソコン配備や、民間事業者との「NDC(ニューノーマル・デジタル・クリエイティブ)教育推進に関するパートナーシップ協定」の締結など、デジタル教育を推進する体制を整えました。
 この他にも、フレイル(虚弱)予防の実施や、地域とのつながりを回復させる取組みの研究、検討など、皆さんの健康や、安全・安心への取組みにも注力してまいりました。
 令和2年度は、新型コロナウイルス感染症対策に主眼を置きながらも、これまでの「交流人口の増加と定住人口の安定化」に向けた取組みを、着実に推し進めた1年でした。
 さて、社会経済情勢に目を向けますと、新型コロナウイルス感染症の影響は未だ社会全体に大きなインパクトを与え続けており、自主財源の根幹である町民税の減収は必至の状況にあります。その一方で、少子・超高齢化により、社会保障費は増加の一途を辿っており、今後は、さらに厳しい財政状況が続いていくものと予測しています。
 また、コロナ禍を契機に、東京への人口一極集中という人の流れが、都心から地方へと変化する兆しも見えていますが、「人口減少と少子・超高齢化」という地方自治体が抱える最大の課題は、ますますその速度を増していくものと捉えています。本町においても例外ではなく、「人口減少と少子・超高齢化」は、さらに大きな波となって押し寄せてきています。
 ここ数か月は、コロナ禍における働き方の変化により、人口の流入がプラスに転じていますが、今後は、これらの大きな課題に的確に対応できる町を創り上げ、定住人口の安定化をめざし、人口減少を抑制していく必要があります。
 そのためにも、引き続き、本町に住む子どもから高齢者までのあらゆる世代の皆さんが、安全で安心に、生き生きと暮らせるまちづくりを進めなければなりません。
 令和3年度からは、新たな第五次総合計画がスタートします。第一次総合計画以来、変わることなく掲げている「紺碧の海に緑の映える住みよい大磯」というまちの将来像の実現に向け、新たなステージへ踏み出していく年となります。
 これまで先人が守り遺してくれた美しい自然と、由緒ある歴史、文化に恵まれた大磯を愛し、誇りを持っていただけるよう、その価値にさらに磨きを掛け、住みよい大磯を創り上げていく所存です。
 次に、令和3年度に取り組む力点を述べます。

令和3年度の力点

 令和3年度は、これまで取り組んでまいりました「子育て」、「教育」、「健康」、「経済」、そして、「安全・安心」の5つを、再度、重点項目に掲げます。
 より深刻さを増すであろう人口減少と少子・超高齢化は、対峙し続けていかなければならない本町の最大であり最優先の課題です。
 人口減少の抑制、定住人口の安定化につなげる取組みを進めることで、観光客数の増加や合計特殊出生率の上昇など、成果が現れている取組みもありますが、人口減少を止めるまでには至っていません。しかし、人口減少抑制の取組みを継続することが大切であり、一つひとつの積み重ねが、町民の皆さんが安全で安心に暮らすことができる、持続可能な町へとつながっていくものと信じています。
 将来を担う子どもたちが夢と希望を持って育ち、そして、その子どもたちを育てる皆さんが、いつも笑顔で子育てすることができる「子育て」と「教育」への取組み、誰もが生涯健康で心豊かに生き生きと暮らすための「健康」への取組み、働く世代を呼び込み、地域に元気や活力を生み出す「経済」への取組み、そして、安全・安心を実感できる暮らしを実現するための「安全・安心」への取組み、これら5つの取組みが相互に関連し合うことで、大磯に住んでみたい、住み働きたい、いつまでも住み続けたいと思える、未来へつながる町を創り上げていかなければなりません。
 それでは、5つの重点項目について述べます。
 1点目の「子育て」についてです。
 これまで妊娠・出産・子育てへとつながる切れ目ない支援体制を整備し、「子育てで選ばれる町」をめざし、子育て世代へ寄り添いながら、多様なニーズに対応した様々な取組みを進めてまいりました。
 今年度に策定した「第2期子ども笑顔かがやきプラン」に基づき、待機児童の解消に向け、令和6年度に町立大磯幼稚園を公私連携幼保連携型認定こども園へ移行するための準備を進めてまいります。
 また、町内保育所等において、一定期間就労した保育士を支援する「保育士就労支援交付金制度」を新設し、保育士の確保と保育の質の向上を図ります。
 さらに、町立幼稚園の長期休業期間中の、預かり保育の受入れ期間や保育時間の拡充、今年度から取り組む「出産後の母親の健康診査」や「新生児の聴覚検査」、また、「いそさぽ赤ちゃん相談室」をはじめとした、子育て世代に寄り添った総合的相談支援を提供するための、ワンストップ拠点となる「子育て世代包括支援センター」の機能拡充など、様々な保育ニーズに合わせた子育て支援施策を展開してまいります。
 次に、2点目の「教育」についてです。
 新型コロナウイルス感染症拡大の余波を受け、昨年は小中学校ともに約3か月の休業を余儀なくされました。そのような状況下で、国のデジタル教育推進への対応は加速しました。本町においても、国のGIGAスクール構想にあわせ、児童生徒一人に一台のタブレット型パソコンや、大型提示装置などのICT関連機器を配備することができ、4月には全ての児童生徒に配布します。これらICT機器を活用したデジタル教育を推し進め、コロナ禍における新たな生活様式に対応した教育と、多様な個性を持つ子どもたちを誰一人取り残さない、個別に最適化された学びを実現できる体制を整えてまいります。
 そして、総合教育会議において協議を重ねてまいりました学校運営協議会制度、いわゆる「コミュニティ・スクール」については、令和4年度の導入をめざし、「学校は地域の中にある」という考えの下、「学校」、「家庭」、「地域」の三者の連携に加えて、幼小中のつながりを見据え、引き続き研究、検討を進めます。
 また、現在、「教育施設等長寿命化計画」の策定を進めているところです。中学校給食施設の整備については、その計画の中で、学校施設全体の劣化状況や、優先度などを鑑みたうえで、施設の在り方について検討を行うこととしており、その間の対応として、お弁当を必要とする生徒への昼食支援策を講じてまいります。
 続いて、3点目の「健康」についてです。
 超高齢社会を迎えている本町にとって、伸び続ける医療費を抑制していくことは喫緊の課題です。そのためには、健康寿命の延伸は欠かすことのできない命題です。
 町長に就任して真っ先に取組みを始めた「おあしす24健康おおいぞ」は、町民の皆さんの間にも浸透し、「地域のなかの気軽に行ける健康サロン」として、これまで10年間で約1,600回開催し、延べ2万8,000人の方々に参加いただきました。今年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により、思うように実施できませんでしたが、今年度から開始した「フレイル(虚弱)予防」などの取組みを充実してまいります。
 また、生活習慣病の早期発見や重症化予防のため、国民健康保険の被保険者を対象とした特定健康診査と、後期高齢者を対象とした健康診査の受診率向上をめざし、健康診査の結果や、国保データシステム(KDBシステム)を活用した専門職による健診結果相談会の開催や、医療機関への受診勧奨など、引き続き保健指導の充実を図ります。
 医療に関しては、新型コロナウイルス感染症に対応すべく医療体制を維持、確保できるよう感染症防止対策と併せ、全町民へのワクチン接種が早期に実現できるよう、中郡医師会とも綿密な連携を図ってまいります。
 そして、健康に関しては、これまで継続してまいりました「おあしす24健康おおいぞ」をはじめ、町民参加型のイベントである「大磯チャレンジフェスタ」、転倒や骨粗しょう症の予防を目的とした「おおいそ骨太体操」や「大磯こゆるぎ体操」の普及啓発、また、「Oisoレシピ」を通じた食育の推進など、多種多様な健康づくりに関する取組みを進めてまいりました。その成果が認められ、今年度の体力つくり優秀組織表彰において、全国で9つの団体が表彰される中、大磯町が「文部科学大臣賞」を受賞することができました。
 今後も、町民の皆さんの健康寿命の延伸に向け、さらなる取組みの充実を図るとともに、健康づくりと食育、生涯スポーツを推進するための計画である「けんこうプラン大磯」が、令和3年度が計画の最終年度となることから、今年度に実施した町民意識調査の結果を踏まえ、令和4年度を初年度とする新たな計画策定も進めてまいります。
 次に、4点目の「経済」についてです。
 地域経済を活性化するためには、本町の産業を担う「農業」、「漁業」、「商工業」が持続可能で活力あるものでなければなりません。
 農業については、農業者の高齢化や担い手不足、耕作放棄地の増加といった課題を解消すべく、認定農業者の確保と、さらなる経営安定に向けた支援を行うため、「農業経営基盤強化補助制度」を新設するとともに、農地の有効活用と地域農業の活性化に向け、虫窪地区と西小磯地区において「人・農地プラン」の作成を進めます。
 林業については、森林の保全と活用に主眼をおいた「自伐型林業」に引き続き着目し、森林所有者の意向を確認する経営管理意向調査を実施するための、林地台帳システムの改修を進めます。
 近年の担い手や後継者不足といった課題を、本町の産業全体の課題と捉え、担い手の確保や育成を進め、生産力の維持、向上を図るとともに、地場産物の消費拡大や、生産物の付加価値向上をめざし、「大磯港賑わい交流施設 OISO CONNECT」においては、地場産の農水産物や加工品、また、大磯の名産品を販売することで、「農業」、「漁業」、「商工業」の相乗効果を図り、地域経済の活性化へとつなげてまいります。
 また、今年度、町、商工会、観光協会のほか、31団体で構成する「大磯らしい潤いづくり協議会」を設立し、この協議会と民間事業者との間で「大磯らしい潤いづくり事業に関する協定」を締結いたしました。そして、この協議会で、令和3年度から「大磯らしい潤いづくり計画」がスタートします。観光における新たなステップとして、本町に元気と活力を生み出すため、「食べる」、「買う」、「泊まる」といった視点で、消費行動へつなぐ「機会」や「場」を提供し、地域経済循環の向上を図る取組みを進め、大磯らしい潤いを創出してまいります。
 そして、「大磯で住み働きたい」と願う方への取組みも進めます。昨年11月には、「大磯町移住・定住の促進活動に関する協定」を締結し、民間団体との連携により、移住・定住を希望する方への相談窓口の充実を図ることができました。昨今、増え続ける「空き家」対策と連動させ、「町の経済の活性化」と「定住人口の安定化」の両面を見据えた取組みを展開してまいります。
 このような取組みを一つひとつ積み重ねていくことで、本町の産業に元気を取り戻し、活力ある「経済」を生み出すことができると考えています。
 次に、5点目の「安全・安心」についてです。
 ここ数年、全国各地に甚大な被害をもたらしている自然災害に対しても、「ウィズコロナ」という意識の中で、避難所運営などの「公助」の取組みを地域と一体となり適切に進めます。また、町民の皆さんの、より一層の「自助」と「共助」の意識の醸成を図り、災害が発生してからではなく、発生前からスムーズに避難などの行動に移すことができるよう、新たな土砂災害警戒区域等の指定に合わせ、土砂災害や洪水浸水想定などの情報を掲載した「土砂災害・洪水ハザードマップ」を作成します。
 さらに、災害が発生した際の防災拠点としての機能を有する役場本庁舎については、「新庁舎整備基本構想等検討委員会」や、議会の「新庁舎建設等特別委員会」の意見をもとに、今後実施する職員及び町民アンケート調査の結果や、町民の皆さんとの意見交換会などでの意見を参考に、基本構想の策定を進めます。
 防災・減災対策に関しては、「災害による死者を一人もださない」という想いを胸に取り組んでまいります。
 そして、大磯駅前における安全・安心についても、引き続き力を注いでまいります。現在実施していますパブリックコメントや、先般開催した説明会で町民の皆さんからいただいた意見などを参考に、大磯駅前を利用する方が、安全に安心して利用できる環境を整えるべく、検討を進めてまいります。
 また、町の高齢化が進行する中で、悩みを抱えながらも、誰にも相談や支援を求めることができないまま、孤立している一人暮らしの高齢者や高齢者世帯が増えつつあります。これは「おあしす24健康おおいぞ」を進める中での重要な課題でもありました。そのような支援が必要な方を孤立させないために、今年度から研究、検討を進めています、保健師等の専門職の個別訪問をきっかけとして、「地域とのつながり」を回復させる「地域のつながり事業」を本格的に始動させ、大学などとも連携した中で、専門的な知識を有する方による相談体制を確立してまいります。そして、町民の皆さんの安全・安心とともに、町全体の健康と福祉の向上に努めてまいります。この他にも、高齢世代の皆さんが、自分自身の身の回りのことを生前にケアし、自分らしく充実した人生を送るための終活支援についても、引き続き検討を進めてまいります。
 以上が、令和3年度に取り組む力点です。
 そして、これら5つの力点とともに、本町の大きな取組みとして、明治記念大磯邸園の整備を進めます。
 昨年11月に邸園の一部区域の一般公開が始まり、多くの方々に来園いただき、憩いと交流の拠点として、早くも本町の新たなランドマークとなりつつあります。
 令和3年度は、昨年11月の第一期開園に続き、春頃の時期に、旧大隈別邸・陸奥別邸跡の町立都市公園区域の開園を予定しています。今後、順次、開園区域を拡大させていくため、旧西園寺公望別邸跡の用地購入をはじめ、整備事業の取組みを引き続き、国・県と連携を密にして進めてまいります。そして、「大磯港賑わい交流施設 OISO CONNECT」のオープンや、葛川を渡る橋が完成した太平洋岸自転車道による周遊環境の向上も追い風として、本町の魅力をさらに高め、地域の活性化へとつなげてまいります。

令和3年度予算案

 次に、令和3年度当初予算案の概略を説明します。
 一般会計の当初予算額は106億9,300万円で、前年度予算額95億7,900万円と比べ、明治記念大磯邸園の整備に伴う約9億2,500万円の計上などにより11.6%の増となっています。
 歳入面での主な増減要因は、町税が、新型コロナウイルス感染症の影響による町民税の減や、評価替えによる固定資産税の減などにより、前年度比約1億1,400万円の減となる見込みです。
 地方交付税は、幼児教育・保育に係る経費など、普通交付税への算入金額の増により、1億2,300万円の増となっています。
 国庫支出金及び県支出金は、幼児教育・保育に係る給付費や、明治記念大磯邸園の整備費などの増により、国庫支出金が約3億4,700万円、県支出金が約7,600万円の増となっています。また、町債についても、道路橋りょう関連事業や明治記念大磯邸園整備事業、高規格救急自動車購入事業などの増により、約6億1,300万円の増となっています。
 歳出面での主な増減要因は、扶助費が、幼児教育・保育や、障害者支援に係る経費などの増により、約1,600万円の増、公債費が、リサイクルセンター整備に係る町債の返済開始などにより、約7,700万円の増、物件費が新型コロナウイルス感染症対策関連経費や、明治記念大磯邸園維持管理事業の開始などの増により、約4,500万円の増、普通建設事業費が、道路橋りょう関連事業や明治記念大磯邸園整備事業、高規格救急自動車購入事業などにより、約10億700万円の増となっています。
 一方、人件費は、約2,100万円の減となっています。
 次に、特別会計の当初予算額は、国民健康保険事業特別会計、後期高齢者医療特別会計、介護保険事業特別会計の3特別会計が78億3,000万円で、前年度比1.8%の減、
 また、一般会計から特別会計への繰出金は、約11億9,900万円で、前年度比0.8%の減となっています。
 国民健康保険事業特別会計の当初予算額は35億9,200万円で、前年度予算額36億4,400万円と比べて1.4%の減です。
 歳入面では、被保険者数の減少により、国民健康保険税の収入額は前年度比1.3%の減となっています。
 歳出面では、歳入面と同様の要因により、保険給付費が前年度比1.0%の減となっています。
 一般会計からは、約2億2,200万円を繰り入れます。
 後期高齢者医療特別会計の当初予算額は10億6,600万円で、前年度予算額10億6,500万円と比べて0.1%の増です。
 歳入面では、保険料が前年度比0.5%の減となっています。
 歳出面では、保険給付費等の増により、後期高齢者医療広域連合納付金が前年度比0.4%の増となっています。
 一般会計からは、約4億8,100万円を繰り入れます。
 介護保険事業特別会計の当初予算額は31億7,200万円で、前年度予算額32億6,700万円と比べて2.9%の減です。
 歳入面では、保険料の見直しや保険給付費などの減により、介護保険料が前年度比12.6%の減、支払基金交付金が2.8%の減となっています。
 歳出面では、介護サービス利用の見込み減などにより、保険給付費が前年度比2.8%の減となっています。
 一般会計からは、約4億9,600万円を繰り入れます。
 今年度から企業会計を適用している下水道事業会計の当初予算額は、下水を処理するための収益的収入は9億7,728万6千円で、前年度比5.9%の増、収益的支出は9億1,219万8千円で、前年度比1.2%の減、また、下水道施設などを整備するための資本的収入は13億2,887万7千円で、前年度比0.9%の減、資本的支出は16億2,456万6千円で、前年度比0.1%の増となっています。
 一般会計からは、約5億8,000万円を繰り入れます。

令和3年度事業概要

 次に、令和3年度の主な事業の概要について、第五次総合計画前期基本計画に沿って説明します。
 消防・救急・救助については、地域防災力の向上をめざし、火災等災害対応訓練を実施し消防力の向上を図るとともに、消防団員の入団を促進し、消防団の充実強化を図ります。
 また、119番通報の受信から出動指令までの体制を強化するため、平塚市・二宮町・大磯町の1市2町で共同運用している共同消防指令センターの消防指令システムを一部更新します。
 地域福祉については、ともに助け合い、誰もが安心して暮らすことのできる町民主体のまちづくりをめざし、「地域福祉計画」の策定を進めます。
 障がい者福祉については、障がい者福祉計画に基づき、障がい福祉サービスの円滑な利用に結び付けるため、相談支援体制を充実し、地域の中で支え合い、ともに生きるまちづくりをめざします。
 高齢者福祉については、第八期高齢者福祉計画・介護保険事業計画に沿い、住み慣れた地域で生き生きと暮らせるよう、地域包括支援センターなどの関係機関と連携を図りながら、生活支援体制を強化し、介護予防や認知症施策を推進します。また、今後の超高齢社会を見据え、町民の皆さんが安心して介護サービスを受けることができるよう、地域密着型介護老人福祉施設等の第九期計画中の整備に向け検討してまいります。
 行財政運営については、第五次総合計画前期基本計画の計画期間に合わせて策定する「第2次行政経営プラン」において、歳入確保と歳出削減の両面から財源確保に努めます。
 また、同じ計画期間で策定する「第5次定員適正化計画」では、多様な勤務形態による任用制度の活用により、柔軟かつ持続可能な職員体制を実現するとともに、職員の健康を第一に考えた働き方改革を進め、職員の能力を発揮できる風通しの良い職場環境づくりをめざします。
 地域環境については、国が2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするという目標を掲げました。地球温暖化対策は、町にとっても喫緊の課題であるという認識の下、省エネルギーや再生可能エネルギーの推進など、良好な環境を次世代に引き継ぐことができるよう、環境に負荷をかけない持続可能な循環型地域社会をめざし取組みを進めます。
 また、この課題を町民の皆さんが自分事として捉え、町全体で環境保全に向けた取組みを進めることができるよう、次期環境基本計画の策定に着手します。
 河川・下水道・生活排水については、台風などによる浸水対策として、三沢川護岸の嵩上げ工事をはじめ、河川施設の整備・修繕、泥溜めの清掃や除草・樹木の撤去など、引き続き流下能力の確保を図ります。
 また、公共下水道の整備については、市街化区域全域と一部調整区域を含めた、全体計画区域の早期整備を図るとともに、国府新宿地区を重点とする雨水管整備も進めてまいります。
 廃棄物処理については、循環型地域社会の実現をめざし、引き続きごみの減量化、資源化を進めるとともに、令和4年度を初年度とする「一般廃棄物処理基本計画」を、食品ロス削減という視点を加え改定します。
 また、昭和53年度から稼働し、平成22年度から1市2町ごみ処理広域化による広域処理施設として運営しているし尿処理施設については、施設及び設備の老朽化が進んでいることから、施設整備に向けた各種調査を実施してまいります。
 生涯学習については、収蔵資料の適切な保存管理や、来館者の安全性の確保と、施設環境の向上を図るため、郷土資料館の燻蒸及び空調機の更新工事を行います。
 別館である旧吉田茂邸においては、明治記念大磯邸園との連携を図り、引き続き民間活力の導入を視野に入れた施設管理の検討を進めるとともに、企画展や講演会などを展開してまいります。
 また、子どもたちが、町の歴史資源を生かした郷土学習に取り組むことができるよう、篤志家からの寄付金を活用して、「明治150年記念誌」の刊行を進めます。
 図書館においては、子どもたちが読書に親しみ、自主的な読書活動ができるよう、「第四次子ども読書活動推進計画」に基づき、図書館と学校図書館との連携を図ります。
 道路・交通については、国府本郷西小磯1号線、通称マリア道は、令和4年度中の完成をめざし、引き続き歩道や排水施設等の整備を進めます。
 また、神奈川県の不動川改修工事に併せ、神橋から上流左岸側の生沢月京1号線の道路整備を進めるとともに、橋りょうについては、橋りょう長寿命化修繕計画に基づき、計画的に修繕工事を進めてまいります。
 道路施設については、町民の皆さんの生活に支障をきたすことがないよう、適切な維持管理を行ってまいります。

むすびに

 以上、私の町政運営に対する所信及び新年度予算の概要について述べました。
 今年は、多くの皆さんからご意見をいただきながら策定作業を進めてまいりました、将来の町の指針となる第五次総合計画がスタートする年となります。第五次総合計画においては、人口減少と少子・超高齢化という課題に適応できる町を創り上げ、定住人口の安定化を目標に掲げ、未来につながる大磯町に向け、総合計画に基づく事業を着実に推進していかなければなりません。
 また、新型コロナウイルス感染症の拡大により、行政事務のデジタル化を推進させ、対応していくことも課題となっています。国においては「デジタル庁」の創設をはじめとしたデジタル化の推進が図られつつあります。町としても、デジタル化の推進により、電子申請などによる「町民の利便性の向上」や、「行政事務の効率化」による職員の負担軽減などを図っていく考えでいます。
 これまで第四次総合計画の最終目標として掲げる「交流人口の増加と定住人口の安定化」に向けて進めてきた様々な取組みとその成果を継承しながら、これからの人口減少・少子・超高齢社会を見据えた中で、SDGs(持続可能な開発目標)といった新たな視点も意識しながら、町民の皆さん一人ひとりが、この大磯町を舞台として自分に合った快適な生活として、「あなただけの大磯らしいライフスタイル」を実現できるよう、町民の皆さんの協力もいただきながら、町の発展に向け持続可能な行政運営に力を注いでまいります。
 そして、「子育て」、「教育」、「健康」、「経済」、「安全・安心」という5つの取組みを通じて、「大磯に住みたい、住み働きたい、いつまでも住み続けたい」という想いをさらに高め、「誰もが安全で安心に、生き生きと暮らせるまちづくり」に向け、新型コロナウイルス感染症という難局にも打ち勝ち、乗り越えるためにも、これまで町民の皆さんと築き上げてきた「信頼とつながり」をより強固なものとし、町民の皆さんとともに歩みを進めてまいります。
 町民の皆さん、議員各位のご理解とご協力をお願い申し上げまして、令和3年度の施政方針といたします。

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