大磯 ~古(いにしえ)の歌~

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古代の大磯海岸は「よろぎ(ゆるぎ・こゆるぎ・こよろぎ)」の磯と呼ばれており、 多くの歌人たちが大磯の景観を舞台に歌を詠んでいます。 万葉集・古今和歌集・新古今和歌集などの著名な歌集にも 大磯を詠んだ作品が数多く見られます。 

1. 万葉集の東国庶民の歌を集めた 「東歌(あずま)」

相模治乃 余呂木能波麻乃 麻奈胡奈須 (さがみじの よろきのはまの まなごなす)
児良波可奈之久 於毛波流留可毛 (こらはかなしく おもはるるかも) 

       (作者不明 万葉集 巻 14 東歌 相聞)

2. 今集に次ぐ第二勅撰歌集の「後撰集」から。「こゆるぎ」の言葉のあやを楽しむ歌

君思ふ 心を人に こゆるぎの 磯の玉藻や 今も刈らまし

       (凡河内躬恒 後撰集 巻11恋)

3. 古今集の「東歌」の中の一首です。大磯付近の様子を題材にした庶民的な歌で、
  人々に親しまれた歌

こよろぎの 磯立ちならし いそ菜摘む 童女(めざし)濡らすな 沖に居(お)れ浪

       (作者不明 古今集 巻20大歌所御歌 東歌)

4. 六歌人の一人で、平安中期の歌人の源重之(みなもとしげゆき)の歌である。

こゆるぎの 磯のわかめも 刈らぬ身に 沖の小波や 誰にかすらむ

       (源 重之 重之集 十世紀末頃成立)

5. 選集に次ぐ第三勅撰歌集の「拾遺集」から。   こよろぎの磯の「いそ」急ぐに掛ける。

小動(こよろ)ぎの いそぎて来つる かひもなく またこそ立てれ 沖つ白波

       (詠み人知らず 拾遺集 巻19雑恋)

6. 第五勅撰和歌集 「金葉集」より。こよろぎの磯の「いそ」急ぐに掛ける。

こゆるぎの急ぎて逢ひし かひもなく 浪寄りこずと 聞くはまことか

        (源 顕国 金葉集 巻九雑)

7. 後鳥羽院以下30人の歌人コンテスト「千五百番歌合」より

待ちわたる 都の人に こゆるぎの いそぐ波路と いかで知らせむ

       (藤原兼宗 千五百番歌合 建仁元 (1201)年)

8. 「鴫立庵(しぎたつあん)」の名前の由来の句   旅を愛した西行法師作

こころなき身にもあはれは 知られけり 鴫たつ澤の 秋のタ暮

       (西行法師 新古今集 巻四・秋)

9. 東海道往復の紀行文の「海道記」より

大磯や 小磯の浦の 浦風に 行くとも知らず かへる袖かな

       (作者不詳 海道記 貞応2 (1223)年)

10. 夫木和歌抄より、勅撰集にも載る藤原仲実の句

大磯に 朝なタなに かづきぬる 海士もわがこと 袖や濡るらむ

       (藤原仲実 夫木和歌抄 延慶3 (1310)年)

11. 徒然草の作者、兼好法師 (1283-1350)による句

こよろぎの磯より遠く 引く潮に 浮かべる月は 沖に出にけり

       (兼好法師 兼好法師集 14世紀頃成立)

 12. 京を出てから北陸、関東、奥州、などを廻国したき紀行 「廻国雑記」より

あはれ知る 人のむかしを 思ひ出て 鴫立つ澤を 泣く泣くぞとふ

       (准后道興 廻国雑記 文明18 (1486)年)

14. 急ごう!急GO!小田原北条氏3代目武将 氏康の旅紀行より

きのふたち けふこよろぎの 磯の浪 いそいで行かむ タ暮の道

       (北条氏康 むさしの野紀行 天文15(1546)年)

15. 豊臣秀吉と小田原城攻略に従軍した、武将 細川幽斎の歌

見るが内に 磯の波わけ こよろぎの 沖に出でたる 海士の釣り舟

       (細川幽斎 東国陣道記 天正18 (1590)年)大磯詩詠塾 

16. いきたいけど行けない箱根に心ひかれ

こゆるぎの いそがぬ旅も 過ぎて行く わかれ路とめよ 足柄の関

       (小堀遠州 辛酉紀行 元和7 (1621)年)

17. 曽我物語の虎御前と曽我十郎の悲恋を思い出した大磯での句

大磯は 虎臥す野辺か 尾を踏みて あやふき道の たとへにぞする

       (浅井了意 東海道名所記 万治元 (1658)年)

18. 相模みちの浜辺で、故郷を偲ぶ歌

さがみ路の よろぎの磯に 寄る波の いつか帰らむ故里の空

       (本居大平 草枕の日記 安永2(1773)年)

19. ドラマチックな風景を詠う

ももくまの 荒き箱根路 越えて来れば こよろぎの磯に 波の寄る見ゆ

       (賀茂真渕 賀茂翁家集 享和元 (1801)年)

20. 秋の訪れを感じて一句

こよろぎの 磯の浪わけ まだきより 秋来にけらし 風のすずしさ

       (橘 千蔭 うけらが花 享和2 (1802)年)

21. 往路と復路の特徴をここに詠う:教養が垣間見れる歌

大磯や 虎が雨降る ころに来て 鴫立つ澤の 秋にかへれり

        (滝沢馬琴 壬戊覇旅漫録 享和2 (1802)年)

22. 平易な言葉で風景を描く叙景歌の秀作

こゆぐるぎの いそぎて立てど むら千鳥 波のあとにぞ 声は聞こゆる

        (小澤芦庵 六帖詠草 文化8 (1811)年)

23. 忙しい海士さんたちに思いを馳せて

こよろぎの いそぎなれたる 海士の子は たつ年波も 知らずやあるらむ

        (香川景樹 桂園一枝 文政11(1828)年)

24. キーンと冷えた冬の情景

こよろぎの いそ山松に 月さえて 波の音さむく 千鳥鳴くなり

       (大塚楠緒子 「明治歌集」 明治27(1894)年)

25. それぞれに美しいこよろぎの浜の小石25. それぞれに美しいこよろぎの浜の小石

かず知らぬ 浜の小石も それぞれに おのが色あり おのがかたちあり

       (佐佐木信網 心の華 明治30(1897)年) 【現代語訳】

26. 大磯の磯辺で遊ぶ子どもの姿を忠実に描く

相模の海 大礒のいその みち潮に 赤裳ぬらして 遊ぶ子らはも

       (正岡子規 竹の里歌 明治32(1899)年)

27. 曽我物語の曽我兄弟を偲んで

古寺に 古き姿を残しおきて 裾野のつゆと 消えし人はも

       (伊藤梅子 心の華 明治30 (1897)年)

28. 大磯の山から海を望むと・・

タ凪に 小見ひろひし 跡もなく 白洲は海に なりにけるかな

       (山縣有朋 明治35(1902)年 椿山集)

29. 雨の日に、大磯で貝合わせして過ごす

子らと共に 貝あわせして 雨の日を ひと日暮せり 大磯の里

       (落合直文 萩之家歌集 明治39(1906)年)

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